お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

50歳貯蓄7700万円。10年後リタイアしたいが可能か(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、60歳でリタイアを考えている自営業者の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが担当します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 60~65歳の家計管理に注意が必要

基本的には貯蓄、資産等が十分にありますので、老後について大きく心配するような部分はありませんが、多少なりとも気になるという点をいくつかあげてみます。

まず、相談者であるご主人の年齢では、老齢基礎年金も老齢厚生年金もともに65歳からの支給となる点です。60歳でリタイアということですので、65歳までご主人は無収入ということになります。

ご主人60歳の時点で、奥様は公的年金を支給されていますが、それでも現在の生活費43万6000円は維持できません。65歳までに2000万円前後取り崩す計算になります。

もちろん、相談者の場合、貯蓄は老後資金として取り崩していいわけですが、そのペースが最初の5年間とくに早いため、その後を考えると、やや心細いという感じを受けます。高齢になれば、いろいろな不足の事態が想定されます。たとえば、要介護になって施設に入所など、大きな支出が発生する可能性も否定できません。

したがって、60~65歳の間の貯蓄の目減りをいかに減らすかは、老後を考える上でのひとつのポイントだと思います。
 

アドバイス2 保険と貯蓄商品の見直しで家計改善

老後の備えとして、今できることが家計の改善です。

具体的には、まず保険の見直しを考えられます。現在、夫婦それぞれ終身保険に加入されていますが、現時点で「払済保険」(※)としてもいいと思います。ともにあと5年で払込みが終わりますが、その間に浮いた保険料を貯蓄に回せば、60歳以降の生活資金に回せます。

すでに貯蓄もあり、老後が近い年齢であることを考えれば、そもそも、ご夫婦とも死亡保障は必要ないという考えもできます。終身保険は貯蓄のつもりでされているかもしれませんが、払済保険でもこれまで支払った分の保障、解約返戻金ともに残ります。

もうひとつ気になるのが、貯蓄商品の預け先。たとえば普通預金に1340万円も預けておく必要があるでしょうか。また、定期預金にしても、より金利の有利な金融機関に預けているか、ご自身でチェックしてみてください。

たとえば、地銀や信用金庫のインターネット支店は、金利0.4%程度の定期預金を出しています。一方、メガバンクは0.025%。この金利差で、仮に5600万円預けていれば、年間で受け取る利息は税引後でも20万円近くも異なります。低金利であってもまとまった額の貯蓄だと、それなりの差となるわけです。
 

アドバイス3 確定拠出年金をフル活用

老後に向けて投資をしていきたいとのことですが、余裕資金も十分にあり、他の資金を準備する必要もないことを考えれば、投資環境=リスクを取れる条件は整っていると言えるでしょう。

とは言え、どこかでリスクヘッジはしたいところ。そこでまず、投資額の枠を作ります。現在、投資済みの約340万円と今後、毎月投資していく10万円。これ以上は投資額を増やさない。つまり、現状の約7000万円の貯蓄については投資の目的で取り崩さないということです。

もうひとつが、個人型の確定拠出年金の活用です。すでに月額2万3000円ほどされているようですが、できれば自営業者の上限額(月額6万8000円)まで掛け金を増やしてもいいと思います。

確定拠出年金のメリットは掛け金の全額が所得控除になること。しかも、運用期間中は売却益や分配金も非課税。投資のリスクを、節税である程度カバーできるというわけです。また、引き出しは60歳以降で一時金か年金、または併用という形で選べますから、まさに老後資金づくりにうってつけの制度と言えるでしょう。(金融機関により所定の口座管理手数料等がかかることがあります)

具体的な投資については、しっかり貯蓄がある分、株式だけでハイリターンを狙ってもいいうと思います。国内株式50%、海外株式50%と分散できればさらにいいでしょう。

(※)保険料の支払いを止めても、一定の保障を従来の保険期間のまま継続できる制度。保障額は減額されるが、予定利率は変わらない。ただしほとんどの特約はその時点でなくなってしまう。
 

相談者・小玉みいさんから寄せられた感想

深野先生、このたびは貴重なアドバイスを頂戴し、ありがとうございました。この機会に、アドバイス頂いた内容について、さっそく見直しをしたいと存じます。まずは普通預金に放置してある貯蓄を適切なところにおさめるところから。また確定拠出年金の恩恵を受けられるように、私及び会社員である妻にも加入を勧めたいと思っております。

やはり60~65歳の間も多少なりとも収入を得ることも考えなければならないですね。深野先生にアドバイスを頂ける機会を頂き、我が家の経済状況を分析できたことで自分の意識を大きく変えることができました。大変感謝申し上げます。


教えてくれたのは……
 
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深野 康彦さん
業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。







取材・文/清水京武

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