クラシック/クラシックおすすめ新譜CD

2015年5月の、クラシック音楽のおすすめ新譜CD(2ページ目)

2015年5月のオススメはこれ! クラシック音楽の新譜CDの中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介します。

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

ダニエル・ホープ(ヴァイオリン)、他 ブラームス、シューマン、マーラー:ピアノ四重奏曲集

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■レコード会社からのオススメコメント
名手ダニエル・ホープが今年4月にアメリカ・ツアーを開催するのに先立ち、3月3日にリンカーン・センターで収録された最新作。メンバーはCMS(リンカーンセンター室内楽協会)芸術監督でもあるチェリスト、デイビット・フィンケルと彼の妻であるピアニスト、ウー・ハン、そして伝説的なヴィオラ奏者ポール・ニューバウアーという豪華な顔ぶれです。内省的なシューマン、ほの暗い情熱が香り立つブラームス、そして若々しいマーラーと、全く異なるアプローチが要求される3曲で、それぞれの曲が持つ魅力を3様に描き分けています。

■ガイド大塚の感想
室内楽の達人たちゆえの充実した演奏。個性を持ったまま全体として調和する様がそれだけで聴いていて満足度高い。マーラーは、後の壮大な仕事を想像することが困難な学生時代の曲だが、アール・ヌーヴォー的なテクスチュアの重なり、絡みを巧みに表現している。シューマンは優しい表情が光る。とりわけ3楽章で聴かせる美しい歌は染み入る。ブラームスにおける熱気と、ねっとりと絡む旋律も抗い難い魅力に満ちている。


五嶋龍(ヴァイオリン) ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番『クロイツェル』、フランク:ヴァイオリン・ソナタ、他

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■レコード会社からのオススメコメント
2005年のCDデビューから10年を経て、その音楽性と技術を磨き続けてきた五嶋龍が、遂にヴァイオリン・ソナタの最高峰、『クロイツェル・ソナタ』とフランクに挑みました! 情熱的、明朗で自由闊達な演奏で、これらの不朽の名作にフレッシュな感性で生命を吹き込み、新たな魅力を引き出しています。5月の全国リサイタル・ツアーもこれら2曲を引っ提げて12公演を行います。

■ガイド大塚の感想
クロイツェルが凄まじい。元々ヴァイオリンとピアノが丁々発止とやり合う1楽章だが、龍の煽りっぷりといい、手に汗を握る展開が続く。スピッカート(跳弓)はジャブで、鋭いクレッシェンドとデクレッシェンドは一瞬を付くパンチのよう。ねじ込むトリルも鮮烈。落ち着いた2楽章では逆になめらかさを強調し、終楽章は弓技の展示会。巧みな技術で一音も飽きさせない。フランクはクロイツェルの後だと、筋肉を持て余してしまっているようにも聴こえてしまうが、落ち着いた意図的な演奏。タイスの瞑想曲は美しく、ヴィエニャフスキはお手の物といった名人芸。
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アシュケナージ(ピアノ) 焔に向かって~アシュケナージ・プレイズ・スクリャービン

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■レコード会社からのオススメコメント
70年代から80年代にかけて、スクリャービンのピアノ・ソナタ全集を録音、90年代には交響曲全集など各種オーケストラ作品を録音し、高い評価を得てきたアシュケナージ。作曲家没後100年の記念の年に、実に30年ぶりとなるピアノ作品集をリリースします。このアルバムには、神童と呼ばれながら11歳で事故死した息子、ユリアンの作品も収録されており、アニバーサリー・イヤーにふさわしい内容となっています。

■ガイド大塚の感想
スクリャービンが14歳で書いた作品2から、死の前年に書かれた最後の作品番号74まで、変遷を順に辿るスクリャービン入門にもなる1枚。やはり聴き物は神秘主義に傾倒し生み出されていくポリリズムと、神秘的な響きをする後期。アシュケナージは知り尽くしたという感じで、独特の官能的夢世界のようなものを奏でていく。
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小山実稚恵(ピアノ) シューベルト:即興曲集D899&D935

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■レコード会社からのオススメコメント
名実ともに日本を代表するピアニスト小山実稚恵のデビュー30周年を記念し、オリジナルとして28枚目のアルバムです。「レコード・アカデミー賞」を受賞するなど絶賛を受けた前作「シャコンヌ」から2年ぶりに同じ軽井沢大賀ホールで収録しました。シューベルトの至福の音宇宙に小山ならではの充実のピアニズムが開花しています。2006年からスタートした12年合計24回の「音の旅」リサイタルシリーズも絶賛続行中です。

■ガイド大塚の感想
周知のとおり日本を代表するピアニストだが、私が学生時代にホールでアルバイトをしていた時、本番は夜だというのに朝からホールに来て笑みを浮かべながら、しかもよく弾く曲であるのに練習し続ける姿に驚き「心から音楽が好きな方なんだな」と思ったのをこのアルバムを聴いても思った。一音一音を本当に慈しむよう。聴いていて幸せがこちらにも届くような演奏。
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阪田知樹(ピアノ) スペイン狂詩曲~阪田知樹デビュー!

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■レコード会社からのオススメコメント
阪田知樹は2013年に第14回ヴァン・クライバーン国際コンクールにおいて、最年少ファイナリストに輝きました。このアルバムでは感性や技巧に加え多様な創造性を要求される作品を選び、磨き抜かれたピアノによって、作品の特質を堂々と披歴。現在、東京藝術大学に在籍しながら、ハノーファー音楽大学留学中。また人気漫画/アニメ「四月は君の嘘」主人公・天才ピアニストのモデル・アーティストとしても注目されています。

■ガイド大塚の感想
思い切りよい表現が多く、今後も楽しみになるデビューアルバム。聴いていて思わず仰け反るような、ヴィルトゥオーゾ的な部分に驚かされたりもするが、特に印象的なのは柔らかくキラキラとした表現。ドビュッシーの映像第2集などもかなり雰囲気よく、心地良い。
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