クラシック/クラシックおすすめ新譜CD

2015年5月の、クラシック音楽のおすすめ新譜CD(3ページ目)

2015年5月のオススメはこれ! クラシック音楽の新譜CDの中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介します。

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

ヤンソンス(指揮) モーツァルト:レクイエム

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■レコード会社からのオススメコメント
ヤンソンスがコンセルトヘボウ管を指揮した、モーツァルトの「レクイエム」。2012年のブラームス、2013年のヴェルディへと続く、当コンビによるレクイエム・シリーズの第1弾でもありました。モーツァルトはヤンソンスにとってきわめてレアなレパートリーということもあり、貴重な録音の登場といえましょう。ここではヤンソンスとのマーラーの交響曲録音で熱演を聴かせたオランダ放送合唱団とともに、ソリストがまたこのうえなく魅力的。当楽団の名誉客演指揮者である"アーノンクール組"ともいうべき、実績もゆたかな顔ぶれががっちりと固め、ヤンソンス初の「モツレク」を強力に盛り立てます。

■ガイド大塚の感想
イントロイトゥスの冒頭から、テンポをいじるのではなく、音の強弱・長さでとぼとぼとした歩みを繊細に表現していて驚かされる。逆に推進力あるところもあり、前を向いたり、天を仰いだり、うなだれたりを繰り返すかのよう。一聴すると標準的な演奏に感じられるかもしれないが、ヤンソンスはやはり現代最高の指揮者の一人であり、こうした楽譜の読み込み、実現力は驚異的だ。コンセルトヘボウの実力の高さも堪能できる。
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ヘレヴェッヘ(指揮) ドヴォルザーク:レクィエム

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■レコード会社からのオススメコメント
交響曲『新世界より』やチェロ協奏曲などで知られるドヴォルザークは、故郷チェコの民俗音楽を大事にした作曲家。しかし彼は同時に敬虔なクリスチャンでもあり、教会の祈りの言葉を歌詞に、宗教を越えて人の心にうったえかけてくる大がかりな合唱曲もいくつか残しています。晩年の大作『レクィエム』も、その好例――オーケストラと合唱とを一続きの歌として融けあわせる指揮者ヘレヴェッヘの、暑苦しさとは無縁の瑞々しい音作りで。

■ガイド大塚の感想
これは完成度の高い演奏。ヘレヴェッヘの評価は昔から高いが、いよいよ孤高のレベルに達してきたという印象を受ける。何より集中度が極めて高く、彼の思考が団員全員にきっちりと共感を得て伝わっていると分かる。合唱の暗闇の中での濃淡を描くような繊細な美しさはさすが。オケの劇的な表現も心を揺らす。「宗教音楽は暗そう」と敬遠するのはあまりに勿体無いアルバム。
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フアン・ディエゴ・フローレス(テノール) ロッシーニ:ウィリアム・テル(DVD・Blu-ray、海外版)

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■レコード会社からのオススメコメント
このロッシーニの最後のオペラは、タイトルこそ「ウィリアム・テル」ですが実際の主役は、長老メルクタールの息子、アルノールであると言っても過言ではありません。ロッシーニはこの役にハイ・テノールを用い、輝かしい高音と素晴らしい歌唱テクニックを要求します。今回アルノール役を歌ったのは、稀代のロッシーニ歌手フアン・ディエゴ・フローレス。彼はロッシーニの要求に完璧に応え、2013年、ペーザロ音楽祭に集ったロッシーニ通達を圧倒しました。その公演をライヴ収録した映像作品です。テル役にはベテランのアライモを配し、脇をかためる歌手たちも魅力あふれる歌唱を聴かせてくれます。

■ガイド大塚の感想
ベルカント・オペラの現代最高のテノールと言えば、フローレス。並ぶもののいない圧巻のテクニックを駆使し、輝かしさと力強さ、甘さで聴かせてくれる。オケも鋭い表現、演出もモダンでおしゃれな楽しいもので飽きさせない。


クナッパーツブッシュ(指揮) ポピュラー・コンサート(旧譜)

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■レコード会社からのオススメコメント
クナ&ウィーン・フィルのDECCA録音最後を飾る名盤。初出時のオリジナル・カップリングで再現しました。3/25発売のVol.1に続くシリーズのひとつ。今回の復刻でも音質面ではこれまで通り、オリジナル・マスターからのハイビット・ハイサンプリング(192kHz,24bit)でデジタル化した音源をCDマスターに使用しました。

■ガイド大塚の感想
「くるみ割り人形」「舞踏への勧誘」など名曲を集めたアルバムだが、本当にどうしてこんなにも大らかに響くのだろう。正に失われた芸術。シルクのような弦が特に象徴的な、柔らかさ、優しさ、温かさはクナならではのもの。アクセントの強調もくどいにはくどいのにチャーミングに聴こえるのは、ロジカルに説明できない、クナ・マジック。心にゆとりを与えてくれるような、気持ちも穏やかになる名演。
タワーレコード


タブラトゥーラ(古楽器アンサンブル) 「蟹」(旧譜)

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■レコード会社からのオススメコメント
つのだたかし、田崎瑞博、近藤郁夫、江崎浩司、山崎まさしの5人による古楽器バンド。ヨーロッパの古楽器を使って、変幻自在・不思議な音楽を聴かせる世界に類を見ないアンサンブル「タブラトゥーラ」。彼らの手にかかると中世フランスの吟遊詩人の歌も、メンバーの新しい作品も、まるで幼なじみに会ったように実に懐かしく響く。柔らかい肌触りの古楽器の音色と今にも踊り出したくなるような軽快なリズム、そして何より音を楽しむという音楽の喜びを実感させてくれる。1984年に結成し、日本中の人々を楽しませてくれています。その名盤が、2015年待望の再発売!

■ガイド大塚の感想
2000年にワールド・リリースされた際、相当売れ、話題となった日本が誇る名盤の再発。久しぶりに聴いても、生き生きとしたリズムと巧みなアンサンブルに貫かれた音楽の楽しみが詰まった演奏は、全く色褪せていない。古楽器アンサンブルながら、特に良いのはメンバーによる現代に作られた曲。古楽的だが、ミニマル的なリズムの使い方などモダンなセンスに満ち、クールで楽しい。
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フルニエ(チェロ) チェロ・リサイタル(旧譜)

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■レコード会社からのオススメコメント
バッハからガーシュウィンまで、「チェロのプリンス」フルニエが英デッカに残した稀少なリサイタル盤を復刻。1952年10月、ロンドン、デッカ・スタジオでのモノラル録音で、バッハからガーシュウィンまで小品7曲と、バッハのチェロ・ソナタBWV1027が入っています。一部を除き、世界初CD化!

■ガイド大塚の感想
こういったチェロの音というのも今では聴けないノスタルジックな味わい深いもの。フルニエのチェロはいつも端整で高貴な香りを漂わせる。ドビュッシー「美しき夕暮れ」での朗々と響く低音、滲む重音、囁くような高音と、表現される情感も至福。
タワーレコード


ということで、交響曲からオペラ、再発ものまで、強力盤の揃う5月です。気になったものを聴いていただけたら幸いです。
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