クラシック/クラシックおすすめ新譜CD

2015年5月の、クラシック音楽のおすすめ新譜CD

2015年5月のオススメはこれ! クラシック音楽の新譜CDの中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介します。

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

2015年5月の、クラシックのおすすめ新譜CDをご紹介!

毎月大量に発売されるクラシックの新譜CD。その中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介していきます。2015年5月のオススメはこれだ!
(発売前、発売延期、売り切れなどの場合もございます。ご了承くださいませ。直接CD店に行く場合などはご注意くださいませ)


P・ヤルヴィ(指揮) ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」

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■レコード会社からのオススメコメント
ロシア・ナショナル管弦楽団によるショスタコーヴィチの交響曲全曲録音シリーズにパーヴォ・ヤルヴィ登場! 曲は第7番「レニングラード」です。2015年9月にNHK交響楽団の首席指揮者となるパーヴォ・ヤルヴィの日本における注目度もさることながら、世界中でひっぱりだこの指揮者による「レニングラード」は期待せずにはいられません。進撃してくるドイツ軍を描き、これと戦う国民の英雄的な姿、最後の勝利への確信が表現された交響曲第7番の、抜群の切れ味と細部まで緊密な造形も見事に表現した快演の登場です。

■ガイド大塚の感想
アリナミンVのCMでアーノルド・シュワルツェネッガーが歌った「ちちんVV」の元ネタである、ナチス・ドイツ軍の侵攻行進曲も、パーヴォらしくタイトに隊列を組ませ、凝縮させたところからエネルギーを爆発させていて痛快。高音から低音まで構造もクリアに聴き取れ、美味。終楽章の勝利のクレッシェンドもしなやかな筋肉で薄いレイヤーを上塗りしていくように盛り上げていく。パーヴォ、恐るべし。


井上道義(指揮) チャイコフスキー:交響曲第4番、他

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■レコード会社からのオススメコメント
2014年大阪フィル首席指揮者就任直後に癌が発覚し、長期休養を余儀なくされた井上道義が再び大阪フィルの定期演奏会に戻り、ライヴ収録された名演が当盤です。闘病後の公演とは思えぬほど、井上道義の才気が研ぎ澄まされ、一音一音に魂がほとばしり、音楽が精気とともに躍動。大阪フィルは重厚なサウンドで、まさに全身全霊でチャイコフスキーを表現します。井上道義の「魂のチャイコフスキー」をぜひお聴き下さい。

■ガイド大塚の感想
1楽章はテンポをやや落とし気味で、一音一音一歩一歩をその悲劇性と希望を噛み締めつつ進むよう。ミッキーの棒は丁寧で熱いが、オケは思いのこもった公演ゆえか不正確になる部分もあるのが逆にライヴならでは。終楽章などは、完全復活を印象付ける迫力。当日の前プロだったショスタコーヴィチの「ロシアとキルギスの主題による序曲」の引き締まった演奏もさすが。
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P・ジョルダン(指揮) ラヴェル:ダフニスとクロエ、ラ・ヴァルス

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■レコード会社からのオススメコメント
名指揮者アルミン・ジョルダンの息子であり、素晴しい構築力のある音楽を奏でる指揮者フィリップ・ジョルダン&パリ国立オペラ管弦楽団の実力発揮! 待望のラヴェルのバレエ音楽。ベンジャマン・ミルピエ(バレエ芸術監督)振付のパリ・オペラ・バレエでの「ダフニスとクロエ」を大成功させ、その後セッションにて完成させた録音です。パリ・オペラの現在の勢いを見事にとらえた、新世代のパリ発フランス音楽の精華といえるでしょう。

■ガイド大塚の感想

「ダフニスとクロエ」は、全体的に澱みがなく、端整な色気を出していく。なんといっても虚飾を排した演奏なのが粋。アルカイックな世界を自然に漂わせている。「ラ・ヴァルス」も抑制の効いた、なめらかな演奏。オケのキレイに揃った合奏も心地良い。
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アンサンブル・レザンバサドゥール テレマン:ホルンを伴う合奏組曲、およびフルートとヴァイオリンのための協奏曲さまざま

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■レコード会社からのオススメコメント
タイトルが長いのはご愛嬌。「音楽の父」バッハと同じ頃、ヨーロッパ随一の人気作曲家だったテレマンは、とにかく音の組み立て方がうまい! 木製のフルートやピストンなしのホルン、羊腸弦を張った弦楽器など、18世紀当時にあったような楽器を徹底再現して演奏してみると、俄然その面白さがきわだって聴こえてくるのです。黒地に西欧絵画の部分図(猿かわいいです)が美しいジャケットに、配信ではなく「CDで買う」ことの喜びも。

■ガイド大塚の感想
テレマンの録音というのは、ハズレが少ない。チャーミングで爽快なものが多いが、このアルバムは中でも個々の楽器の個性・技術が明確に伝わり、聴き応えがある。ナチュラルホルン2本のバリっとした潔さ、ヴァイオリン協奏曲の不協和の物憂げなエロティックさ、フルートの素朴な路傍の花のような美しさなど、どれも耳に残る好演。


ストラヴィンスキー(指揮)、石丸幹二(語り) ストラヴィンスキー:兵士の物語

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■レコード会社からのオススメコメント
兵士と悪魔のやりとりから始まる数奇な運命の物語を、実力・人気とも抜群の石丸幹二の語りでその魅力に迫ります。演奏は作曲家ストラヴィンスキー本人がタクトを取り録音した1961年の組曲盤に、朗読版用として1967年に新たに追加録音された音源で構成された全曲盤。石丸幹二は、フリー転身後の2009年よりさまざまな演出家のもとでこの作品に取り組んできており、2015年も宮崎国際音楽祭などで「兵士の物語」に出演します。

■ガイド大塚の感想
20世紀を代表する作曲家が自ら指揮した録音ながら、アフレコの語り手が決まらなかったがためにお蔵入りとなり忘れ去られ、2005年に発見されたという歴史的大発見の演奏。ウィットに富み、またロサンゼルス・フィルのメンバーらによる、切れ味鋭い演奏が見事。英語版がイギリスの俳優ジェレミー・アイアンズの語りで出ていたが、この石丸幹二による日本語版も表情豊かで楽しい。子どもから大人まで楽しめる。
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