行政書士試験から考える芦部憲法の弱点
国家試験において「完璧な基本書は存在しない」と言われるように、芦部憲法も行政書士試験の基本書として完璧ではありません。そもそも芦部憲法は行政書士試験用に書かれたものではありませんから当然です。例えば、芦部憲法には行政書士試験とかけ離れた論点などの記述が多数ある一方で、本試験におけるカバー率は64%であり、足りない記述もあるのです。
足りない記述について取り上げると、行政書士試験の基本書としての芦部憲法の弱点は、ずばり「判例」です。芦部憲法の巻末の案内にもあるように、芦部憲法は判例集の併用を考えて、判旨を詳細に掲載していません。しかし、行政書士試験は毎年のように判例が出題され、その中には芦部憲法には掲載されていない判旨の詳細が出題されています。
また、分量も見逃せません。芦部憲法は本文と註で構成されており、行政書士試験の出題の多くは本文からですが、註からの出題もあります(平成26年問題5選択肢1)。本文だけでなく註についてもしっかりと勉強するとなると、400頁ある芦部憲法は負担が大きいと言わざるを得ません。
このように種本とされる芦部憲法も使用方法を間違えると学習効率が下がる可能性が高いのです。
次のページでは芦部憲法の効果的な使用方法を解説します。