ウォームメタルがついにキッチンに
家具や照明の世界では銅や真鍮などの温かみある金属が流行しています。照明のシェードだったり、キャビネットやチェアの脚部だったり。ステンレスやアルミ、チタンといったシャープでクールな金属とは違う、無垢の木のテーブルやキッチンリネンなどとも相性のいい金属が、キッチンにも使われて始めています。その代表がジーマティック(ドイツ)が発表した「SS3003」です。扉材に、ゴールドブロンズやニッケル、ホワイトチタンなど上品で温かみある金属を使っています。
日本では、S&Hジャパンがこのキッチンの取り扱いをいち早く始めているそうです。
また、ラショナル(ドイツ)からは、「トパーズ」というモデルが。こちらもウォームメタルの銅を使っています。ワークトップは銅の風合いをプリントしたラミネートパネルで、キャビネットはブラックマット。
ダブルアイランドの新しいかたち
同じくドイツのラショナルが発表したのがダブルアイランドのスタイル。部屋の中央にキッチンを配するアイランドキッチンは、日本でも人気ですが、これは長いキッチンが左右に分かれて、それぞれが壁際にくっついてしまったようなスタイル。左側はコンロなどの加熱の作業、右側はシンクなどの水まわり。日本人の発想なら、作業効率を考えて近づけておきたいところですが、そこはそれ、ヨーロッパの広いお家では、ゆったりと料理をするのでしょうね。
マテリアルミックスもより洗練されて
こちらもドイツのラショナルのキッチン。日本ではまだまだ少ないですが、海外のブランドキッチンでは複数の素材を一つのキッチンで組み合わせるマテリアルミックスも主流です。写真のキッチンは白い直線的なキッチンの中央に、ざらりとした木目のヴィンテージ風の扉材を部分使い!モダンとヴィンテージの組み合わせが決まるのも、ドイツのキッチンデザインの特徴です。ちなみにこちらのキッチンの名前は「ZEN」。日本の木の家の質感と、障子などのすっきりとした空間からイメージしたのでしょうか。実は窓の向こうには東洋の庭園らしき景色が見えていますね。
ソリッドウッドの質感はまだまだ人気?
数年前から無垢の木や、ひび割れや節を残した木を使ったソリッドウッドのトレンドが、キッチンデザインに取り入れ始められましたが、まだまだその人気は衰えないようです。日本では「水まわりに木は……」と敬遠されがちですが、木は呼吸する素材。長い目でおつきあいすると、なかなか魅力的な素材に思えてきます。日本でも知る人が増えてきているティーム7(オーストリア)のキッチン「Linee」の新作がこちら。家具からキッチンまで天然の木にこだわったブランドです。
ベージュ色のカラーガラスとウォルナット材の組み合わせ。カウンターは無垢の厚い木なので、モダンな印象と温かみある雰囲気が両立されています。
次回は、実験的なキッチンデザインやユニークなものを紹介します。
取材・文=本間美紀
取材協力=ケルンメッセ日本支社