知的な名前・賢そうな名前をつけることそのものに問題は無い
文字は良くてもまじないは危ない
A: 知的なイメージの表現には、智、知、学のほかに博、勉、覚、賢などの字もよく使われます。これらの字そのものにとくに問題があるわけではありません。ただ多少のことを言えば、「賢」という1字名前の場合は、ケン、サトシ・サトル・スグル・タダシ・マサルなど非常に読み方が多くなるということ、そして賢人(けんと)という名前の場合は熟語になりますので、やや威張ったような印象を受ける人もたまにいる、ということくらいです。
ただしお子さんが知的な秀才になるように、との理由でそのような字を使うのであればあまり意味のないことで、名前をつけられた本人がそのまま字の意味の通りになるとは決まっていません。
知的な漢字を使った名前を好む親
名づけの際は、本当にご自分が好きな字を使うというのが基本のことで、知的なイメージの字だから使いたいという場合、そこで理屈を組み立てていないか、まじないをしていないか、というのは気をつけなければなりません。例えば同じ勉(つとむ)という名前をつけても、勉強をする子としない子は出ます。その違いは、親の感覚の違いからおきます。親が「勉強すればいろいろな道が開ける」というふうに勉強に夢をもっていて、勉の字を見ると何となくよいイメージを感じるという場合は、結果としてお子さんも勉強するようになるでしょう。しかし「つまらない勉強でも頑張って励むように」と願って、まじない的に勉の字をつけたなら、「勉強がつまらない」という親の感覚がお子さんに伝わりますから、お子さんも勉強が好きにはなりません。「勉の字をつけたのにどうしてだ?」と言ってみても、本人に伝わるのは名前ではなく、親の感覚のほうなのです。ですから「勉」という名前だけを宙に浮かせて、良いとか悪いとか分類することはできません。どんな感覚でつけているか、個々のケースによりけりだということです。
知的な名前にこだわりすぎて……名づけにまじないは危険
人の名前がまじない的につけられた場合、名前と本人がまったく正反対に出るケースもあります。極端にひどい例を出すのも恐縮なのですが、かなり前に「智大」という名前の人が繁華街で多くの人を殺傷する事件がありました。職場における待遇の不満が原因と言われましたが、もしそうだとすれば「職場の環境や待遇に納得していない人など数えきれないほどいる」という現実を知らなかったのでしょう。この犯人に決定的に欠けていたのは、世の中を見る智恵と視野の大きさだったということになります。「名前は子に願いをこめてつけるものだ」と決めつけられることもありますが、そういう名づけは「まじないになっていないか」と充分に注意してやらないと、リスクを伴う危ない名づけになることもあるのです。
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