シンガポール/シンガポールのグルメ・レストラン・屋台

「シンガポールの宝」が生み出す中東風カフェご飯

「シンガポールの宝」と評されることもある、気鋭のシンガポール人シェフビョルン・シェン(Bjorn Shen)氏がオープンした、モダン中東料理のカフェバー。特に週末のブランチは、シンガポールのベストブランチにも選ばれた人気ぶり。ブランチメニューとディナーメニューをご紹介。

仲山 今日子

執筆者:仲山 今日子

シンガポールガイド

「シンガポールの宝」が生み出す中東風カフェご飯

解説

「料理は愛」と語るビョルンシェフ

2010年にオープンした中東風のカフェバー、「アーティーチョーク」は今、注目のお店。オーナーシェフのビョルン・シェン(Bjorn Shen)氏は、今年シンガポールのワールドグルメサミットで注目の若手シェフとして選ばれ、地元メディアでは「シンガポールの宝」とまで呼ばれています。

解説

ブランチは、早い時間の屋外席なら予約なしで当日入れる場合も

シンガポール出身で、幼いころから料理に情熱を燃やしていたというビョルン氏は、20歳の時に、シンガポールのフレンチのファインダイニング、サンピエール(Saint Pierre)で食べたフォワグラの味に感動。同店に手紙を書いて頼み込み、修行した後に、オーストラリア、ブリスベンへ。料理学校を経て、2年間働いたモダンオーストラリア料理のレストランで、自分の目標とする形を見つけます。

ギリシア人のヘッドシェフが率いるそのレストランでは、オーストラリア料理をバクラバやムサカ風するなど、中東風のアレンジを加えて提供していたのです。また、同僚もトルコやレバノン出身で、まかない料理としてそれぞれの国の料理を教えあう中で、自然に中東の食文化を知っていったといいます。また、元々オーストラリアでのルームメイトがイラン人で、彼のお母さんがやってくる度に、伝統的な中東料理を知ろうと、市場について行くことから始まり、一緒に料理をしながら学んだとか。

解説

カウンター席、テーブル席ともにあっという間にいっぱいに

レストラン激戦区のシンガポールで自らのレストランをオープンするには、既存のレストランとは完全に違ったものを出したい。そう考えたビョルン氏は、中東料理を現代風にアレンジしたレストランを出すことを決意。オープンしたのがこの「アーティーチョーク」です。「当時、そして今でも、中東料理をこんな風にアレンジした店はないんじゃないかな」と語ります。内装は黒い壁にシェフの手書きで、落書きのような雰囲気のインテリアに仕上げられ、ストリートアーティスト、もしくはいたずらっ子の部屋にこっそりともぐりこんだような雰囲気。

特に人気なのは、シンガポールのベストブランチにも選ばれた、週末のみ行われているブランチ。早めの時間に並べば、運が良ければ食べることができますが、2週間前の予約がおすすめとか。オープン前には、すでに20人ほどの行列ができていました。

シンガポールのベストブランチを味わう

解説

中東風のサンドイッチをアレンジした、カリフラワーサビフ


Cauliflower Sabbich(22シンガポールドル)と、House-made Feta Burrata(23シンガポールドル)をいただきました。

野菜がたっぷり食べられるカリフラワーのサビフ。サビフとはもともと中東で食べられている、ピタパンに揚げたナスと卵を挟んだサンドイッチのような軽食です。

解説

中東料理、ではなく、新しい解釈を加えた中東風の料理

これを、ビョルンシェフは、カリフラワーとスモークした卵が主役の一皿にアレンジ。

中東風のヨーグルトチーズ、ラブネ(labneh)と、シンガポール人の大好きなトリュフで味付けした、タヒニ(tahini)というゴマペースト、フムス(hummus)と呼ばれるひよこ豆のペースト、そしてたっぷりの野菜とハーブがアクセントになっています。スモークした卵は、割ると中が半熟で、とろりとした黄身が濃厚。そして、何よりもカリフラワーが美味しいのです。表面がほのかにキャラメリゼしたようになっていて、野菜が嫌いな人でもきっと食べられてしまうのではないかと思える香ばしさ。みずみずしいミニトマトのすっきりとした酸味、そしてコクのあるヨーグルトとゴマ、ひよこ豆のソースもたっぷり。表面をさっくりと焼き上げたピタパンとの相性も抜群です。

解説

クリーミーなブッラータチーズがたっぷり

そして、現在はディナーのメニューになっている、自家製のブッラータチーズ。

このブラッターチーズが載った一品で、おすすめなのが、トルコ風のパンにキャラメリゼしたベビーコーン、オーガニックトマトとともに盛り付けられたサラダ。バジルのソースがかかっています。自家製のブッラータチーズは、イタリアのもののように、中からじゅわっとクリームがあふれるわけではありませんが、味はまさにあのクリーミーなブッラータチーズ。自然な甘みのトマト、キャラメリゼされて、更に甘みが強調されているベビーコーン。散らされているザクロの実が、甘みと酸味、プチプチとした食感をプラスしています。

何よりも、火の入り方が素晴らしく、シンプルながら、甘みと酸味、コクのバランスなど、あるべきものが、あるべき味でまとまっている、バランスの良いお店です。

大人気のオリジナルアイスクリーム

解説

色鮮やかな見た目も楽しいアイスクリーム



解説

すぐ隣のアイスクリームの店舗も行列

デザートには、「ネーネーポップ(Neh Neh Pop)」という名前の、オリジナルのアイスクリーム(7シンガポールドル)を。これは、お店の隣に小さな店舗があり、アイスクリームだけを買うことも可能です。分厚いチョコレートの中に、濃厚なアイスクリーム。マシュマロがゴロゴロ入った、ロッキーロードという味を選びましたが、クリスピーなシリアルに柔らかいマシュマロもおいしく、食べ進むうちに違った味が出てきて、うれしい驚きにあふれます。他にも、マンゴーともち米のデザートをイメージしたマンゴースティッキーライスなど、アジア風の面白いフレーバーもありますよ。このネーネーポップはシンガポールのアート関連の商品を集めたお店、ナイーズ(Naiise)のクラークキー店などでも売っています。

ディナータイムはケバブや肉のロースト、エビの串焼きなどしっかりしたメイン料理が中心のメニュー構成になっています。

先日京都を旅行で訪れたというビョルンシェフ。「日本風にアレンジした料理は作らないのですか?」と聞いてみると、「京都から帰って来てすぐの時は、刺身や大根とゆずの漬物をメニューに載せたけれど、日本料理はとても精緻、シンプルだからこそ難しい。しばらくはないかな」ということでした。

また、「美味しい料理を作るには?」という質問には、「愛」と即答。「何に対する愛ですか?」と聞けば、「自分がやってることに対する愛だよ。同じ材料で分量で、タイミングで作っても、味って作る人によって全然違うでしょう?その違いが、愛なんだと思うよ」。ビョルン氏の料理に注ぐ深い愛が生み出した味、ぜひ味わってみてくださいね!

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■Artichoke
営業時間:ブランチ 11:30~15:30(土曜・日曜)、ディナー 18:30~22:30(火曜~土曜)、月曜休
住所:161 Middle road, 188978
電話: +65 6336 6949
アクセス:MRTブギス駅徒歩8分
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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