うま味は、料理だけでなく医療にも活用?
自家製干しきのこを作っておくと、便利に使えます。
ドライマウスは、口の中が乾くというだけでなく、唾液の分泌が減ることで口内の菌が増えて、口臭や虫歯になりやすくなるなど、様々なお口のトラブルにもつながります。こうしたドライマウスの治療にも、昆布茶などを使い、そのうま味で唾液を分泌させて症状改善につながっているようです。
また特に高齢者などは、ドライマウスに加えて、味覚障害のある人も多いそうです。ただでさえ加齢により新陳代謝が衰えると、味覚も感じにくくなったりするものです。味覚を感じにくくなると、食欲が出ず、低栄養につながることもあります。
うま味を活用することで唾液を分泌させ、またうま味をしっかり効かせて味覚を刺激し、「おいしい」という本能的な喜びを感じることで食欲を促し、しっかり栄養を摂取して健康維持にもつながるそうです。
さらにグルタミン酸ナトリウムは、味覚として唾液を分泌するだけでなく、消化吸収を調節することにも深く関わっているのではないかという研究報告もあります。
うま味で減塩や満足感もサポート
うま味の多いだしをきかせることで、減塩しやすいことはよく知られていると思います。おひたしでもうま味の効いただしを時間をかけて含ませると、塩や醤油をかけなくてもおいしく食べられます。現代人は野菜が不足しがちですから、おいしく野菜を料理してたっぷり食べれば、不足しがちなビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が得られ、またカロリーを抑えながら満腹感も得られますので、健康的な食事には活用したいものです。鰹だしのうま味にも、満足感につながり、食べ過ぎを抑えることにも役立つ働きがあると考えられています。
だしをとるのが面倒な人には乾物利用も
うま味の成分の多いだしをとるのは面倒という方も多いと思いますが、満足感などを得るには、かつおだしのひきたてのよい香りがポイントになるそうですから、できれば家庭でだしをひくことにも意味があるのだと思います。近年はこだわりのだしパックなどが市販され、昆布やかつおぶし、さばぶしなどをおいしくブレンドされていますから、好みのものを利用するとよいでしょう。
ガイドの場合、時間があれば、昆布を前の晩から水につけて、鰹節を入れて……というようにだしをとりますが、時間がないときのために、冷蔵庫にはいつも昆布水や干ししいたけの戻し汁を冷蔵庫で保管して使います。
うま味の多いキノコを活用するのもよいでしょう。ガイドは、様々なきのこ類をお天気のよい時に干しておきます。えのき茸や舞茸、しめじ茸などをほぐして干すと、調理しながら戻りますので便利です。
※ただし、梅雨の時期など湿気の多いときはカビやすいので、気をつけて下さい。
わざわざだしをとらなくても、昆布水と干したきのこなどで煮物を作れば、調理しながらうま味の効いただしがでます。他にも干しエビ、ちりめんじゃこなどの乾物もうま味が凝縮していますから便利です。こうした食材を活用し、日々の健康のためにもうま味を活用しましょう。
参考/
・日本食文化テキスト(農林水産省)
・日本うまみ調味料協会
・味の素 研究開発トピックス
・水の文化(ミツカン 水の文化センター)
・焼津水産化学工業株式会社