銀行預金は無料なのに、投資には手数料がかかる
投資について興味を持って少し調べてみると、「別途、手数料がかかる」ということに驚かされます。証券口座を開設するのは無料ですが、株を買った場合、「売買手数料」がかかります。手数料は各社それぞれ設定されていますが、どんなに安くても数百円はかかります。買うときと売るとき、それぞれかかる仕組みです。細かい売買については運用会社に代わりにやってもらうことのできる投資信託という仕組みがありますが、この場合は買うときと売るときに加え、運用をしている日々、つまり毎日わずかながら手数料を引かれます。運用の売買を代わりにやってもらう手数料ということです。
これに比べて、銀行預金に手数料はかかりません。予め「年利○%」と提示された利率を預け入れた金額にかけ算すれば満期時に受け取ることのできる利息がすぐ分かります(実際に受け取るときには税金が引かれます)。確実ですし、余計な手数料はかかりません。
ところが、この発想は大間違いです。発想の逆転からお金とのつきあい方を考える「マネーハック」で考え直してみましょう。
銀行預金が手数料ゼロと考える人はお人好し
銀行預金はお金を預けると一定期間後に利息がもらえる仕組みです。預け入れた元本についても解約して引き出すことはできます(この場合、解約金利を適用するのが一般的)。金融機関の破綻を除けば元本割れにもなりません。しかし、これは「手数料がゼロ」なのではなく「手数料が込み込み」なのです。
そもそも、預貯金はどうして利息がつくのでしょうか。私たちがお金をすぐ使わずガマンしていることのご褒美としてなんとなくもらえるわけではありません。
銀行はあなたが預けたお金を有効活用します。具体的にいえば住宅ローンやいろんなローンを個人に貸し付けて利息を取ります。無目的のカードローンだと年14%くらいとりますし、住宅ローンの場合は年2%くらい金利を取ります(担保があるため金利が低くて借りることができる)。いずれにしてもあなたの預貯金の利息より高い貸し付けです。
銀行は法人にもお金を貸します。会社が新しい事業を行う時など、お金を借りる必要があるからです。この場合、担保や返済能力、借りる金額などで金利が決まります。金利基準のひとつとなる短期プライムレートを参照すれば年1.5%程度です。それでもやはりあなたの預貯金の利息よりかなり高い利率です。
私たちがもらえる金利が仮に年0.02%だったとすれば、実際には銀行は「あなたに0.02%でお金を借りて、会社や個人に1.5%~14%でお金を貸す商売をしている」というわけです。
手数料が無料といっても、銀行は親切なのではありません。あなたの安心の代金として、実際に得られた利益の多くを「中抜き」している、と考えることもできるのです。