騒音面は文句なしだが、乗り心地は若干課題も
騒音面ではほぼ合格点といえるCX-3だが、乗り心地の面ではBセグメントをベースとするSUVとしてはよく健闘しているものの、中低速域や少し舗装状態が悪い路面ではコツコツとした振動を感じることもあった。
これは16インチも18インチ装着車も同じような印象で、2WDと4WDでは4WDの方が若干乗り味に落ち着きを覚えたものの、16インチ、18インチ、2WDと4WDのすべてで乗り心地に当然ながら「大差」はなく、予算やニーズに応じて気にすることなくチョイスすればいいと思う。
さて、マツダにはハンドリングも期待する人が多いだろう。CX-3もデミオなどほかのモデルと同じでこの点も十分に満足できる。スムーズに、あるいはよく曲がるということは、直進安定性の面で不利になりがちだが、法定速度前後であれば高速道路でも大きな不満は抱かなかった。
後席の広さや荷室の使い勝手については「まずまず」というところ。後席は中央寄りにシートを配置することで、前席の乗員と会話しやすいレイアウトを狙っているというが、足元スペースはBセグメントのハッチバック並で、デミオと同じホイールベースであることは後席の広さからも感じられる。
フロアボードを立てて使ったり、フロアボード下に小物を積載したりと、使いやすさを謳う荷室は容量が350LとCセグメント並を誇るが、フロアボード下のサブトランクを含めた数値。
全長が25mm長くなるスズキ SX4 S-CROSSが420Lの大容量を誇るのと比べると分が悪いのは、CX-3の「ロングノーズ&ショートデッキ」やルーフラインを下げたデザインコンシャスな面も影響しているのだろう。もし、このクラスに燃費やデザインだけでなく、実用性も要求しているならSX4 S-CROSSも参考にして欲しい。
また、デザインから想像できるように、後方視界だけでなく、Aピラーが近くに迫っているように感じる斜め前の視界ももう少し。前席のフロントサイドウインドウはラウンドシェイプにより少し下端が下げられているが、狭い道では車両感覚や視界をつかむのに少し慣れが必要だろう。
それでもCX-3からは、デミオ同様にクラスを超えた内・外装の質感や走りなどに「艶」のような魅力を感じる。クルマには実用性だけでなく、目に見える、見えないものを含めてこうしたプラスアルファの雰囲気も欠かせないと感じさせてくれる仕上がりなのは間違いない。