好調なスタートを切ったマツダCX-3
ガソリンエンジンの設定はなく、クリーンディーゼルエンジンのみという大胆な戦略で登場したマツダCX-3。
2015年2月27日の発売から1か月を待たずに受注が1万台を超え、順調といえるスタートを切ったのは、クリーンディーゼルの経済性の高さを含む「燃費」や「走りの良さ」だけでなく、最近人気のあるコンパクトSUVの中でも「スポーティ」や「質感の高さ」など、近頃のマツダらしさが支持されているからだろう。
トルクフルな走りで力強さは十分
さて、1.5Lディーゼルエンジンに6AT、もしくは6MTを組み合わせるCX-3は、どちらを乗っても出だしからトルクフルでスムーズな走りが味わえるのが美点。デミオよりも約130kg重くなっているが、20Nm増強された最大トルクにより重さは感じさせず、ストップ・アンド・ゴーが続く街中だけでなく、上り坂も軽快にクリアしてくれる。
多くの人はATを選ぶだろうが、下からのトルクに厚みのあるディーゼルだけにMTで乗っても十分に楽しめる。いや、この価格帯のモデルとしてはシフトフィールが良好なMTの方が走らせて楽しい。もしMTにも心が惹かれるという方がいたらMTを選んでも後悔はしないはずだ。
ディーゼルといえばトルクフルな走りだけでなく、音や振動が気になる方もいるだろう。CX-3ではエンジン自体の静粛性が向上していて、アイドリング時や低速時にはディーゼルエンジンらしい燃焼音も伝わってくるものの、ディーゼルエンジンとしてはかなり静かな印象だ。
CX-3には世界初の「ナチュラル・サウンド・スムーザー」が搭載されている。ピストンピンにピンダンパーを仕込むことで、ピストンピンが3.5kHz周辺で共振することで発生するピストン・コンロッド系の振動エネルギー(ディーゼルエンジンのガラガラ音になる)を減衰するというもので、ノック音の低減に貢献する自慢のオプション。
この「ナチュラル・サウンド・スムーザー」の「あり、なし」を何度か乗り比べて見たが、「確かに言われてみれば」という程度の差しか自分には感じ取ることができなかった。これはCX-3のクリーンディーゼルが「なし」でも十分に静かだからかもしれない。
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