メジャーリーグ球団でのプレーが濃厚に
DeNAの高田繁ゼネラルマネジャーは「お金は一切発生しない。本人も要求していない」と話している。
「今日、グリエルに契約解除を通告した。NPB(日本野球機構)にも申請した。理由は、本人が故障を理由にいつ来るかわからない状況が続いているから。2日に担当者と一緒の便に乗せて帰ることも考えたが、それも来ないとなるとね。契約というものを理解していないのではないか。ずるずるやってもチームにマイナスになる」
高田繁GM(ゼネラルマネジャー)は、なかばあきれ顔でこう説明した。本人も書面にサインをし、「お金は一切発生しない。本人も要求していない」という。
グリエルは昨年、キューバ政府が選手の海外移籍を解禁したことを受けて、5月にDeNAに入団。62試合で打率.305、11本塁打、30打点をマークした。オフには巨人との争奪戦を制し、再契約。キューバ国内リーグの所属チームの敗退を受け、当初は3月24日に来日する約束だったが、右太もも裏を痛めたことを理由に「完治するまで日本に行かない」と連絡を入れ、球団側が要求した診断書の提出も拒否していた。
球団は3月28日に担当者をキューバに派遣、窓口である政府と交渉したが、本人に会えず、4月2日になって自宅まで押しかけ、本人と直接話し合ったが、「完治してから」の一点張りだったという。
メジャーリーグでは今、空前の(キューババブル)である。チャップマン(レッズ)やプイグ(ドジャース)ら多くのキューバ選手が活躍したことで契約金が高騰。
さらに米国とキューバの国交正常化に向けた動きを受け、今年2月3日に米大リーグ機構が、キューバ選手と契約する際に必要だった米政府の許可取得を撤廃したと各球団に通達。選手本人の宣誓書提出でメジャーと契約可能となった。同時期に取材を受けたグリエルは、「誰もが最高の舞台であるメジャーリーグでプレーしたい。自分は合法的に行きたい」と語っている。これは、日本でのプレーはそのステップと捉えかねない発言だ。
メジャーリーグのスカウトによれば、“打率3割はかたい”と高評価のグリエルだけに、年俸10億円のラインも夢ではない。自由契約選手となったため、争奪戦が展開されるだろう。
高田GMは「好きにやっていいよ」とすでに無関係の立場を強調するが、不必要なマネーゲームにも参加することなく、現場への混乱を最小限で食い止めたDeNAの決断は正しかったといえるのではないだろうか。