ハトヤで玉子ドッグをいただく
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高見順は、1907年(明治40年)、福井県で生まれている。翌年、母親とともに上京し、いまの東大の文学部に進学し、卒業後はコロンビア・レコードに就職。その後、作家活動に入り、人気作家になっていくのだが、1965年(昭和40年)に58歳で食道がんにかかり、この世を去った。
小説『如何なる星の下に』が書かれたのは高見順が30歳前後のころ。浅草でのいろいろな人間に会うことで、ストーリーが進んでいく。人と会い、話をする場所が先のお好み焼き屋の惚太郎だったり、喫茶店だったりする。
何度も出てくる喫茶店は「ボン・ジュール」。実在したのは「ボン・ソワール」という名前の喫茶店だが、今はない。小説に登場し、現存しているのは「ハトヤ」という喫茶店だ。引用してみよう。
(「如何なる星の下に」(講談社文芸文庫)209ページ)
というわけで、ハトヤさんに行ってみた。あれっ、閉まっているぞ。なんだか、胸さわぎがする。
何やら張り紙があるぞ。それによれば、しばらくの間、平日は休業するとある。
閉店したのかと思ったら、そうではないようだ。よかった。というわけで、日曜日にうかがった。
数年前、友人と訪問したのだが、記憶違いでなければ、かなり高齢の女性がやっていらっしゃった。いまはその息子さんなのだろうか、それくらいの年格好の方がやっていらっしゃった。
小説に出てくる、“カレーライスのカレーを挟んだカレー・ドッグ”はないようだ。ちなみに小説では「ドッグ」となっているが、お店のメニューは「ドック」だ。それでは、珍しい玉子ドックをいただいてみよう。
塩が提供されたので玉子ドックは薄味かと思ったら、しっかり味がついていた。
熱々の玉子焼きがパンにはさんである。初めて食べたが、なかなか旨い。ちょっと小腹がすいた時にいいかんじだ。
■ハトヤ
東京都台東区浅草1-23-8
[土日、祝日]
8:00~18:30
平日は休業