ホンダS660量販プロトタイプを試乗

ホンダS660

グレードは「アルファ」と「ベータ」の2種類が用意される

3月30日に発表されるホンダS660の量販プロトタイプ(先行生産車)の試乗会が袖ケ浦サーキットで行われた。このクルマ「誰でも気軽に乗れるリーズナブルな2人乗りオープンカー」として企画されたものの、開発に着手すると「安価には仕上がらない」ことが判明。「だったら本格的なスポーツカーに仕上げよう!」になったそうな。

なるほど車体構造を見ると懲りに凝っている。可能な限り軽い車重を実現しつつ車体の剛性を確保するため、大半の板材に補強を入れており、難しい溶接箇所も多い。開発担当者に聞いてみたら、フル生産しても1ヶ月に1000台くらいしか作れないという。こういった作り方をしてたら安くならないでしょうね、と思う。ホンモノのスポーツカーなのだった。

コースインしてサーキットを走ってみたら「これは凄い!」。車体構造だけでなく、走りもホンモノだ。車幅の狭い軽自動車と思えないくらいコーナーで安定しており、しかも旋回G(横方向に掛かる重力。車載メーターに表示される)は1.2Gに達している! 史上最高のコーナリングマシンと言われる新型コルベットでも1.4G程度。

ちなみにコルベットの場合、1965mmというワイドなボディに、335/20ZR20という途方もない太さのタイヤを履かせている。1Gを超えれば市販スポーツカーのコーナリング性能としては高く評価されることを考えれば、S660の旋回性能、全幅わずか1480mmのクルマと思えない。それだけシャシやサスペンションが良いと考えていい。

もう少し詳しく書くと、単純に速いだけでなく「楽しい」。ハンドルを切ればミドシップらしく素直&軽快にフロントノーズが向きを変え、安定したロール姿勢をキープ。路面の凹凸も滑らかに”いなす”から素晴らしい。もちろんクルージングしている時の乗り心地だって良好。軽自動車だと言うことを全く意識させない。

売れ筋グレードは200万以上……買いか?

ホンダS660

軽自動車ということを忘れてしまう乗り心地


唯一の「残念!」が上限を64馬力に抑えられてしまっているエンジンだ。結果、絶対的な速さでは1000ccエンジン積むコンパクトカーと同等。「全てのパワーを使い切って走る楽しさなので良い」という評価もあるようだけれど、ガイドは大いに物足りないと感じた次第。スポーツカーなのだから、ある程度の性能は必要だと思う。

売れ筋グレードの車両価格を聞いてみたら、200万円以上するらしい。必要なオプション付け諸費用を払ったら240万円程度か?「性能と価格のバランスが良い」と考えているなら、何も躊躇うこと無く買っていい。相当な満足度を持つことだろう。けれどガイドのように「スポーツカーであれば、ある程度の速さも欲しい」と考えてると……少し物足りないか?

ここまで本格的なミドシップスポーツカーなら、車幅をもう少し広げ、1000cc級の3気筒ターボか、660ccのままなら100馬力くらいまでパワーアップさせたエンジンを組み合わせたら面白くなる。「優れたコーナリング性能に見合った速さ」は必要。それで250万円になっても全く問題なし。いや、市場は世界に広がると思う。

開発担当者に聞いてみたら、ボディ外板はボルトで脱着出来るとのこと。つまり大きな変更しないでカッコ良いワイドボディ仕様も実現可能なのだった。軽自動車ワクじゃなくなれば、64馬力の自主規制も守る必要なし。生産に余裕が出てきた頃に、ぜひとも実現させてくれたら嬉しい。そしたらガイドも欲しくなることだろう。

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