名前は他人の好みで決めるものではない
門構えの字だから悪いとは言えない
A:閃は初めは門と人を合わせた字で、門の向こう側を歩く人がチラッと見えることから、短い時間を表します。実際には名前にはほとんど使われない字ですが、だからいけないということは言えません。二つに分かれる字が好きか嫌いかも個人の好みの問題ですので、専門家はそのようなことまで立ち入って口出しはいたしません。また門構えと僧侶、庶民ということは何の関係もありません。
門はコミュニケーションを意味する字でもある
漢字は悪い意味がなくて名前に使用しにくい字でなければ、ご自分の好みで選ぶもので、周囲の人の話や巷に漠然と流れる話を集めるのは一番いけないことです。門の字はもちろん出入り口をあらわしますが、それと同時に人間同士のコミュニケーションを意味する字としても使われてきました。たとえば「聞」「問」などはコミュニケーションに関する字で、物理的な出入り口とは関係ありません。「間」は門があいている状態、「関」は閉まった状態で、名前でなく名字のほうによく見られます。
門構えの入る名前はそれほど多くはない
門構えの字で名前に頻繁に使われるような字というのはありませんが、しかしだからと言って名前に使ってはいけない、ということではありません。まず門の字そのものを使う名前としては、多門、志門という男の子の名前があります。つぎに「閏」(ジュン)の字です。門と王を描いたものですが、王は「大きい」の意味で描かれ、はみ出る状態をあらわします。閏歳(うるうどし=1日余る年)の熟語にもなっています。この字自体はあまり名前には使われませんが、これにサンズイをつけた潤(ジュン)の字は、水があふれることで、「うるおう」という意味です。この字は昔から名前に使われてきました。潤平、潤矢、潤也、潤哉、潤一、潤一郎、潤吾、潤太、潤太郎、などの名前です。
また「開」の字は、門と2本のそろった棒を描き、門をあけて扉をそろえて固定することです。開都 開登 開斗、などの名前があります。
そのほか「蘭」は女の子の名前に使われ、多くの場合、ランという1字名前として使われます。「東」の部分は物を束ねた状態を描き、まとめることをあらわし、日光がまとまって出る方角も意味します。蘭は草と、門と、東を合わせた字で、種類の多いランを意味するものと思われます。