作品のテーマが明確になる最終回
最終回で作品のタイトルの意味が明確になることがあります。『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』では、最終回で浮き彫りになる善と悪のボーダー(境界線)に、視聴者は混乱しながらも様々に考え発信しました。『ウロボロス~この愛こそ、正義。』では作品における”愛と正義”がそれまで見てきたものから変化し、その意味に胸を痛めました。最終回でタイトルの意味をしっかりと描き、きちんとメッセージを伝える作品は予想外とはいえ”わかりやすい作品”と言っていいでしょう。
登場人物の豹変におののく最終回
主人公の身近な誰かが豹変し(それが正体なのですが)、戦慄のクライマックスを迎えるケースも多いです。もちろんその豹変には演技力が必要で、ここがお粗末だと最終回が台無しになります(そんな失敗を見たことはありませんが)。従ってここも大きな賭け、最終回の難しさを感じます。例えば『眠れる森』で仲村トオルが演じたエリート濱崎輝一郎、『ブラッディ・マンデイ シーズン2』で満島ひかりが演じた医師の倉野理沙など、狂気に満ちた豹変ぶりは見事に視聴者を恐怖に突き落とします。視聴者はハラハラドキドキしながら結末を見守り、危機一髪で救われるいつもの展開に「あぁ、よかった」で終われます。
一見複雑なストーリーかもしれませんが、こちらも比較的”わかりやすい着地”と言えそうです。
訪れる別れに涙する最終回
いくつもの試練を乗り越え、卒業だったり転勤だったりで最後に”別れ”がやってくる最終回も多いものです。そこには自立や再生といった大きな意味が加わり、視聴者はそこに感動します。代表的なものを挙げれば『3年B組金八先生』シリーズ。最終回での卒業式は生徒たちの成長に涙が止まりませんでした。誰もが経験する卒業式だからこそ感慨深いものがあるのでしょう。『人にやさしく』では、不器用な3人の男たちと暮らす少年が最終回では、そこを巣立っていきます。別れの意味をきちんと浮き彫りにし、別れを”希望あるもの”として描きます。
再生や独立、自立の意味を持たせ、未来を希望あるものとする最終回を視聴者も望んでいるように思います。