前回の記事では、幼少期から思春期、成人期にかけて積み重ねてきた運動の習慣は、高齢期の体力に直結することをお伝えしました。40代、50代から運動をはじめても遅くはありません。中年期以降に行う運動では、特に持久力や心肺機能の向上を期待することができます。ただし、それまで全く運動をしていなかった人が急に激しい運動を始めることにより思いも寄らないリスクを伴うことがあります。年齢が上がるほど運動前のメディカルチェックやケガの予防、運動の内容に配慮する必要があります。

※前回記事:40代・50代から始める運動に伴う3つのリスク

高齢期に至るまで、1日30分程度のウォーキングや軽スポーツなど程良い運動習慣を身につけておくことにより、近い将来に訪れるかもしれない“要介護状態”を予防することが可能です。また、病気や加齢を理由に要介護状態に陥ってしまっても、リハビリによる成果(回復)を得られやすくなります。若い頃からの運動習慣が、要介護状態にどのように影響しているのか。今回は“脳力”と“回復力”、2つの視点から考えていきます。


認知症の原因は20代の運動習慣にあり

認知症と運動習慣の関係は?

ちょっとした物忘れが脳力低下の前触れかもしれません。

中年期と呼ばれる40代頃から、脳の老化が始まると言われています。人の名前を覚えられなかったり、考えがうまくまとまらない時がある場合は、ごく軽い“脳力(認知機能)”の低下が起きているかもしれません。

海外の研究では「25歳前後によく身体を動かしていた人は、中年期になっても思考力が活発」であることが明らかにされています。逆に、身体を動かしていなかった人は、中年期以降の脳力低下が心配されます。また、若い頃から運動の習慣を身につけている人は、中年・高齢期以降に症状が現れるアルツハイマー型認知症に罹患するリスクを3分の1程度に抑えるという調査報告もあります。…認知症の原因は20代のうちに作られるといっても過言ではないのです。


中年期の脳力低下は、高齢期における認知症のリスクを増大させます。

介護が必要となった主な原因のうち、約2割が認知症。その予防は、20代からの運動習慣に少なからず関係しています。「最近ちょっと物忘れが酷いな…」と感じている人はいませんか?そのような軽い脳力低下は、日頃の運動不足が原因かもしれません。放っておくとどんどん脳力が失われ、高齢期には認知症のリスクを増大させます。

次ページでは、要介護状態となった際に行われるリハビリについて考えてみます。