男のボディケア/デオドラント・臭い対策

体臭の原因は「身体が傷んでいる」から!?

体質が原因と簡単に片づけられることが多いニオイの問題。実は内臓の状態と非常に密接な関係があります。内臓にトラブルがあると、その内臓に対応したニオイが出るとされ、東洋医学では診断にも使われています。ニオイ発生のメカニズムを理解し、対策につなげてみましょう。

大泉 高明

執筆者:大泉 高明

男のボディケアガイド

体質では片付けられないニオイの原因

ニンニクやニラなどの、ニオイの強い食べ物を食べて、口や体が臭うのは仕方がないこと。これは病気でも何でもないし、対策としては強いミントなどの匂いでマスキングするか、ニオイを中和する働きがあるとされるものを飲むかです。

問題は特にニオイのあるものを食べている訳ではないのに臭う場合です。歯をきちんと磨かないための口臭のは論外として、歯に問題がある場合や、入れ歯の管理が悪いことなどを除けば、ほとんどは歯周病か、唾液の不足が原因です。では、なぜ歯周病になったり、唾液が不足したりするのでしょうか?

体臭も、風呂に入らないなどは論外として、特にニオイの出るものを食べていないのに、体のニオイが強い人がいるのはなぜでしょうか?ワキガ体質といわれるアポクリン腺(大汗腺)が発達した人も、体臭が出やすいのは事実ですが、実はそれだけでは体臭はそれほど強くありません。加齢臭やオヤジ臭といわれるものも、全員が加齢とともに体臭が出るかというと、加齢臭とは縁がない人も多くいます。

その体臭は「内臓の悲鳴」かもしれない

その体臭は「内臓の悲鳴」かもしれない


今まではこれらの原因を、体質というひとことで片づけてしまっていました。しかし、もう一歩踏み込んでみると、そこには意外な原因が見えてきました。

ニオイは内臓の悲鳴

「体質の違い」を別の言い方で言うと、「代謝の違い」ということになります。「代謝の違い」を別の言い方をすると、それは「内臓の働きの違い」です。

代謝とは、食べたり飲んだりしたものを、消化して、いろいろな臓器や器官で、いろいろな酵素によって化学変化を起こさせること。それによってエネルギーや身体に必要な成分を作りだし、使われなかったものを体外に排泄する一連の生命活動のプロセスです。

健康的な生活習慣の中で、バランスの良い食事をして、内臓の機能が万全であれば、問題になるニオイはほとんど発生しません。しかし逆にいうと、内臓に何らかのトラブルがあると、それは必ず代謝の異常を伴い、それによって独特のニオイが体の中で作られます。

それが血液に流れだし、いろいろな分泌物や排泄物、呼気となって体外に漏れ出して、ニオイとなります。ニオイがあるということは、必ず内臓に何らかのトラブルがあるということです。ニオイは実は「内臓の悲痛な叫び」なのです。

東洋医学で考える内臓の働きとは

内臓にある臓器や器官は、相互に関係し合い、持ちつ持たれつの関係にあります。全体で微妙なバランスを保ちながら、全体の調和を保っていますが、どこかの臓器や器官が変調すると、それは即他の臓器や器官に影響を与えて、全体のバランスが崩れてしまいます。

このバランスを東洋医学は「陰陽五行(いんようごぎょう)」で上手く説明しています。「陰陽五行」とは、世界の全ては「陰と陽」、つまりプラスとマイナス、五つの要素(行)からできているという東洋哲学の根本をなす考え方です。「陰と陽」は「月と太陽(日)」に代表され、五行は「木、火、土、金、水」という東洋哲学で考える5元素に代表されます。

実はカレンダーの曜日もこの陰陽五行の「日、月、火、水、木、金、土」からきたものです。漢方薬もこの「陰陽五行」の原理の基につくられて、長い歴史を経て今に伝わったものです。

東洋医学では臓器や器官はこの「木、火、土、金、水」に対応しており、それぞれが「相生相剋(そうせいそうこく)」の関係にあるとします。つまり、お互いが高め合ったり(相生)、制御し合ったり(相克)しているという意味です。

東洋医学からみた内臓とニオイの関係

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陰陽五行


上の図のように、東洋医学では「木」は肝臓や胆嚢に、「火」は心臓や小腸に、 「土」は脾臓や胃や膵臓に、「金」は肺や大腸に、「水」は腎臓や膀胱に対応するとされます。

「木」つまり肝臓や胆嚢の機能が弱くなると、体から「脂臭い」ニオイが出やすくなります。また「火」つまり心臓や小腸が弱ると「焦げ臭いニオイ」が、「土」つまり胃や膵臓が弱ると「甘酸っぱいニオイ」が、「金」つまり肺や大腸が弱ると「生臭いニオイ」が、「水」つまり腎臓や膀胱が弱ると「腐ったニオイ」が体からでやすくなります。

逆にこれらのニオイが出るということは、そのニオイに対応する各臓器・器官が弱っていることを示します。事実、漢方の診断では匂いも重要な診断手段の一つとされています。

季節と食事とニオイの関係

陰陽五行説の「木、火、土、金、水」は、季節にも対応しており、「木」は春、「火」は夏、「土」は土用(立春、立夏、立秋、立冬の前の、約18日間)、「金」は秋、「水」は冬に対応します。

春は「木」に対応する肝臓・胆嚢系でトラブルが生じやすく、夏には「火」に対応する心臓や小腸系にトラブルが、土用には「土」に対応する胃や膵臓系が、秋には「金」に対応する肺や大腸系が、冬には「水」に対応する腎臓や膀胱系にトラブルが生じやすくなります。

私たち人類は生まれ育った風土や季節に対応して進化してきましたので、今生きている風土に産する、旬の食べ物を食べて、季節で変動する体の調子を調整するようにできています。

しかし現代人は、遠い外国の風土が全く異なる場所でできた食べ物を、季節を無視して食べています。このような自然から離れた食習慣では、季節の体の変調を上手く補正できず、常に何となく不調が続いたり、代謝が低下したり、免疫力が落ちたりするだけでなく、気になるニオイの原因にもなっているのです。

地元でできたものを、旬に食べるという少し前では当たり前だった食文化を、もう一度見直す必要があるのかもしれません。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して体調不良を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮し、正しい方法で行ってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。

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