出汁おでんや利き酒セット。つまみも酒も充実
付き出しはにんじんの和え物やバジルペーストをかけた大根など野菜の4品盛り。いかにもヘルシーで白い角皿への盛り付けも彩りがよく、女子ウケもよさそうです。つまみはおでん3種と奥三河とりのとり天を注文。おでんはうどんのダシで炊いてあり、これが角がなく実に優しい味わい。最後まで飲み干してしまうほどでした。てっきりうどん用の出汁を使っているかと思いきや、「うどん屋ならではの出汁の効いたおでん」の意味で、おでん専用に作った出汁を使っているそうです。もちろん名古屋らしく味噌をつけてくれます。
とり天はメニューには一盛3個とありましたが、お腹が膨れそうなので無理を言って1個だけにしてもらうことに。鶏肉は臭みがなく、衣はかりっと軽やか。脇についている広島の藻塩がまたミネラル豊富で深みがあり、これだけで酒のアテになります。
ここでビールから日本酒に変えて、3種の利き酒セットを注文。お薦めの地酒を一升瓶で目の前に並べてくれ、好みに応じてセレクトしてくれます。無ろ過の生原酒「白木久」が気になったので、これを軸に残りを2種類を選んでもらいました。
「最初はインパクトがある『白木久』を。続いて山廃仕込みでフルーティーな『仙禽』(せんきん)、口当たりが柔らかですが旨みもしっかりある名古屋の『鷹の夢』の順番でどうぞ」とおいしく飲める順番までアドバイスしてくれます。
日本酒は日替わりで地酒を各種取り揃える。日本酒に詳しいスタッフがお薦めをチョイスしてくれる。写真は3種の利き酒セット。『白木久』(京都・白杉酒造)、『仙禽』(栃木・せんきん)、『鷹の夢』(名古屋・山盛酒造)
うどんは讃岐&名古屋のハイブリッド!
そしていよいようどん。温かいかけうどんに名古屋ならではの冷たいころうどん、かま玉、釜あげ、つけ?、ぶっかけ、そして関西ではおなじみのキムラ君(キムチ&ラー油)……。どれも気になりますが、この日はさっぱりシメようと、すだちコロをセレクト。讃岐で修行をしたというご主人が打つ麺は、最初の印象は柔らかいのですが弾力があり、つやつやしこしこ。のごごし抜群でするすると入っていきます。つゆは讃岐流のいりこダシと名古屋流のカツオ+ムロアジ。修行したうどんの本場の味に、名古屋人の好みを加えたハイブリッドです。互いがバランスよくまとまっていて、優しい味わいで最後まで飲み干してしまいます。
「名古屋に来てからいろんなうどん屋を食べ歩いてびっくりしたんです。名古屋はうどん、きしめん、煮込み、そばと4種類の麺を扱う店が多くて、それを全部打っている店が珍しくない。技術も高くて、これは讃岐にだってひけを取らないうどん処だと実感しました」と店主の衣笠太門さん。讃岐流に名古屋流を組み合わせたのは、そんな名古屋のうどんに対するリスペクトがあったからなのです。
飲み屋としてもつまみ、酒ともに充実していて、しかもここだけのうどんが食べられる。呑んべにも麺好きにもたまらない、その魅力もまたハイブリッドです!
つまみ充実の太門たんのうコース3000円、うどんばかり4種を食べ比べできる麺マニア向けのおまかせうどんコース2000円もあり(値段は税抜き)、次回はこちらを試してみたいと思います。
【この日のオーダーと料金】
・ うどん屋の出汁おでん3種
・ 奥三河とりのとり天 1個
・ すだちコロうどん(小盛り)
・ エビスビール生中
・ 3種利き酒セット
……2990円
□ うどんや太門
・ 住所:名古屋市千種区今池5-9-18
・ TEL:052-753-9338
・ アクセス:地下鉄今池駅より徒歩1分
・ 営業時間:18時~22時
・ 定休日:日・祝
・ Yahoo地図情報
【名古屋自腹メシ バックナンバー】
□第1回 「JIROMAL」 (※閉店)
□第2回 「お番菜と酒 おっこん」 (栄)
□第3回 「うどん家 匠庵」 (錦)
□第4回 「焼酎居酒屋 モモガッパ」 (錦)
□第5回 「貝と地酒 杉むら」 (栄)
□第6回 「どての品川」 (堀田)
□第7回 「島正」 (伏見)
□第8回 「雑炊 いちい」 (伏見)
□第9回 「ふじ原」 (久屋大通)
□第10回 「炭火やきとり きんぼし」 (伏見・今池・新栄)
□第11回 「大甚 本店」 (伏見)
□第12回 「魚めし 竹亭」 (伏見)
□第13回 「珍串」 (名古屋駅)
□第14回 「歓酒亭 大安」 (金山)
□第15回 「どて焼 五条」 (円頓寺)
□第16回 「串かつ やきとり やまちゃん」(名古屋駅)
□第17回 「のんき屋」(名古屋駅)