神輿は乗るよりも担ぐ方に回れ
お金を稼げる人の行動
そう捉えて「いかに相手に動いてもらえるか」にフォーカスすれば、自分を下に置くこと、あえて自分を小物に見せることも重要です。
しかし凡人は、見栄にしがみつきます。
「そんなことを知らない自分を認めたくない」
「相手よりも知識で劣る自分を認めたくない」
「他人を賞賛するなんておもしろくない」
そういうちっぽけな意地が、人を操る言葉が出てくるのを阻害します。
自分が神輿に乗せられて優越感に浸ります。もちろん、そんなものは1円にもなりません。
そもそも、人間が喜ぶシチュエーションはだいたい決まっています。だからあとはそのツボを上手に突いて神輿に乗せて、自分の思い通りの場所へ運んであげればいいということです。
だからチャンスを手に入れる人は、目的達成のために積極的に神輿をかつぎます。
たとえば、相手と話しているときは、「○○さんのおっしゃるとおり、仕事というものは……」などと相手の言葉を引き合いに出しながら話すというのは、相手を乗せる常套手段。
相手からすると、自分の発言を肯定されているという自尊心がくすぐられ、うれしくなる。そしてそんなあなたに好感を持つ。あなたのために動こうというモチベーションになる。(可能性が高くなる)
これは、神輿に乗せたい人がその場いなくても使えます。たとえば、「あの人のおかげで助かっています」「彼に勉強させてもらっています」と本人のいないところで吹聴して回る。それはやがて本人の耳に入ることになるので、そんなあなたに好感を持たない人はいないでしょう。
また、人前でのスピーチなら、主催者や権力者を引き合いに出すのが効果的です。
たとえばイベントでの挨拶などでは、
「今の私があるのは、主催者の○○さんのおかげなのです」
「前列に○○様がおられますが、かつてこのような教えをいただいたことがありまして……」
と持ち上げられてうれしくない人はいないでしょう。あなたへの評価もアップするというわけです。
この「人前で褒める」というのは、直接本人に言うよりも絶大な効果があります。たとえば私の知人は、女性でありながら29歳ですでに年収1,500万円を超える辣腕マネージャーですが、いつも人に応援されます。
たとえば彼女は飲食店に行って感激すると、店長やオーナーを呼びつけます。呼ばれた方は何事かと思ってやってくるのだが、彼女は「このスタッフさん、接客が素晴らしくて、とても気持ちいい」と、本人に言うのではなく、その店長やマネージャーに向かって褒めるのです。これは、本人だけではなく、上司にとっても極上の褒め言葉となります。
もちろん彼女は仕事でも同じ。商談がうまくいけば、「優秀な部下をお持ちですね」と上司に向かって褒めるし、イベントが成功すれば、イベント責任者に対して「素晴らしいスタッフをお持ちでうらやましいです。」などとやはり上司に褒める。もちろん部下に対しても、「頼もしい上司を持って幸せですね。」などとやるから、褒められた方は2倍のうれしさがある。こうして彼女は、自分の応援団を増やしていく。
これを「杵つきバッタ」「腰巾着」と勘違いし、嫌悪感を抱く人かもしれません。自分を安売りすることのような印象もあります。しかし稼ぐ人にとってのヨイショというのは、自分の目的を達成するための手段であり、ひとつの販促に過ぎないということでしょう。