ボールが変化する原理
ライズボールの変化する原理を知っていますか?
ボールの変化は「揚力」によって生まれます。ボールが回転することによって揚力という力が生まれ、その方向にボールが変化する力が働きます。回転軸をずらす――すなわち回転軸を傾けることによって揚力の向きや大きさが変わり、様々な変化球が投げられるわけです。
揚力とは、流れの中に置かれた物体。例えば翼のように流れに傾けて置いた板があったとして、その板(翼)が受ける力のうち、流れの方向に垂直に働く力を言います。ボールの様な球体の場合、進行方向と垂直になるとは限らず、回転軸によって働く方向が決まるのです。
回転するボールには、空気の流れが強くなる側と、弱くなる側ができます。この空気の流れの非対称が圧力差となり、ボールの進行方向をそらす揚力が生まれます。この原理を「ベルヌーイの定理」と言います。
さらに、変化球の発生にはボールの背後にできる空気の乱流も関与しています。回転するボールでは、乱流の位置は進行方向に対して斜めになります。乱流側は圧力が低いため、ボールの進行方向を曲げる力が生まれます。これを「マグナス力」と言います。
これらの効果により、ボールは変化しているのです。
それでは、以下にソフトボールにおける主な変化球の種類と、一般的な投げ方についてご紹介したいと思います。
握り方を変えることで様々な変化球が投げられる
ライズボールの特徴・握り方
ライズボールはバッターの手もとで浮き上がる変化球。ソフトボール独特の下から上へと大きく浮き上がってくる軌道を描く変化球です。バッターにとっては、打ちごろのストレートに見えていた球が、手もとで目の高さぐらいにまで浮いてくるため空振りしやすい球種と言えます。ボールに強烈なバックスピンをかけることにより変化を起こします。<ライズボールの握り方・投げ方>
ここでは、最も基本的なライズボールの握り方と投げ方をご紹介します。
人差し指と中で握り、親指は添えるだけのイメージ。人差し指は曲げて、横腹を縫い目にかけます。親指に力が入らないように力を抜き、人差し指に力をかけます。そのため、人差し指と親指を近づけます。
肘をやや曲げて肘からふり降ろすように、人差し指と中指でスナップをきかせるバックスピンを与える。ボールにうまく回転をかけられない場合は、無理に手首を返そうとしている可能性があります。手首は返そうとせずに、ドアノブを捻るようにするとイメージしやすいかもしれません。
ストレートの場合、体の中心に軸をとり、それをキープして投げるイメージですが、ライズボールでは、軸を後ろにとって投げるイメージです。ただし、球種ごとに基本的なピッチングフォームは極端に変えない方がよいです。
ドロップボールの特徴・握り方
ドロップボールは、バッターの手もとでストンと落ちる変化球。下回転のストレートにより強いトップスピンをかけた、いわゆる落ちる変化球のことです。ストンと鋭角に落ちるような軌道を描くのが特徴で、バッター側からみると手もとで沈みこむように変化するため、きれいに打ち返すのが難しい球種と言えます。また、ピッチャーは十分にコントロールできるようになってから使用しないと、キャッチャーが捕れなかったりするなど、リスクが高い変化球です。
<ドロップボールの握り方・投げ方>
ストレートと同じように握ります。ただし、全体的に指に力が入りすぎると強い回転がかかりにくくなってしまうので、慣れてきたら指の第2関節を浮かせるようにして持つとよいでしょう。
投球の際には、重心を前に乗せた状態から、ボールを上から下にこするようにすると強い回転がかけられます。軸は前、リリースは後ろのイメージで行うのがポイントです。リリース後は、手のひらが後ろを向いています。
チェンジアップの特徴・握り方
チェンジアップとは、遅くて緩い、バッターのタイミングを外す球種です。ただ単に遅いボールを投げるということではなく、「速いストレートのボールを投げる場合と同じ腕の振りから、全くスピードの異なる遅いボールを投げる」ということに意味があります。バッターにとっては、最もタイミングがとり難く、空振りの多い球種です。<チェンジアップの握り方・投げ方>
手首を固定できているかが最大のポイント。5本の指で均等に握る(わしづかみの様なイメージ)持ち方でも、手のひらを少し浮かせるようにして握ることでコントロールを微調整できるようになります。
体の中心に軸をとって投げ込むストレートと基本的には同じように投げます。ただし、手首を返さず固定させて投げるのがストレートの投球とは異なる点です。腕ごとキャッチャーに向かって投げるようなイメージで投げます。
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