落ち着きがない子供が小学生に。集団生活になじめるか不安……
じっと座っておくこと自体が大変です
興味があることにはまっしぐら。興味の対象がコロコロ変わって落ち着きがない。集中していると親が呼ぶ声も聞こえないけれど、突然集中力が途切れて他のことを始めてしまう。……そうした個性を持つ子どもたちにとって「みんなと同じように行動する」というのは、なかなか難しいことのようです。
登園や降園の時間にもそれほど縛られず、大まかな時間配分で1日が過ぎていった保育園・幼稚園時代と違い、小学校ではチャイムに合わせて(最近はチャイムが鳴らない小学校も多いようですが)時間通り動くことが求められます。小学生になると「集団行動ができるようになる」ということが課題のひとつになります。
どの子も成長にともない少しずつ集団生活になじんでいくものですが、最初の段階でつまずいて学校をキライになってほしくないもの。子どもの個性を大事にしながら、親はどのようなサポートができるでしょうか。
「みんなと同じ」は最低限でOK
否応なく30人以上での集団生活を強いられる小学校・中学校・高校時代は、私たちの人生において、ごく限られた期間の「特殊な環境」であることを頭に置いておきましょう。集団生活の場では、落ち着きのない子は目立ちます。先生から叱られる回数も他の子より多くなるでしょう。でも、そこは親が覚悟を決めて、腹を括りましょう。親の側で最初から「静かに授業を受ける」といった高いハードルを設定してしまうと、子どもは学校でも家でもダメ出しばかりされることになってしまいます。私たちの社会は「早く大人と同じ行動ができるようになること」「和を乱さないこと」を偏重しがちですが、それは「抑圧」とセットです。「みんなと同じ」は最低限でOK、と思って、気長にサポートしていきましょう。
「先生から叱られたこと」を理由に叱らない、ということもとても大切です。どんなに破天荒に見える行動でも、子どもには子どもなりの理由があります。授業中そわそわすることひとつとっても、「授業の内容がわからなくて退屈」な子もいれば、「授業の内容が簡単すぎてつまらない」子もいるのです。子どもから理由を聞き出すことができれば、いっしょに対応策を考えることができるでしょう。
参観日に落ち着きのない我が子を目の当たりにして「育て方を間違ってきたのかしら」と悩むママも少なくありません。でも、きっとその時その時「最善」と思われる方法で育ててきたのですよね。エネルギーあふれる子どもと全力で向き合ってきた自分にOKを出しましょう。何より大切なのは、親が自分を責めないことです。子どもは子ども時代に子どもらしくいることで生きる力を育んでいくのです。その子のペースに応じた育ちを見守っていきましょう。
学校生活のリハーサルをしておこう
新しい環境に慣れるための準備をしましょう
・学校に足を運んで慣れておこう
通学路の確認も兼ねて、小学校にはできるだけ足を運んでおきましょう。春休みに入ったら、できれば登校と同じ時間に、親子で学校まで歩いてみましょう。学校に着いたら校庭の遊具で遊ぶのもいいですね。子どもにとって学校が「知っている場所」「楽しい場所」になることを目指しましょう。
職員室が開いていれば、新入生であることを伝えて、1年生の教室を見せてもらいましょう。実際に席に座ってみるだけで、心の準備が進むものです。携帯で教室内の写真を撮ってきて、毎日眺めるのもいいですね。校時表も教室内に貼り出されていますので、写真を撮ってくるなどして、学校生活の時間の流れを子どもと一緒に確認しましょう。
学校にアポイントを取って校内を見学させてもらうこともできます。教頭先生が窓口になっていることが多いようです。
・席についておく練習をする
入学直後の子どもにとって「45分間の授業中、ずっと席に座っておく」というのは、結構たいへんなチャレンジです。幼稚園や保育園では、45分もの間、じっと席について何かをする、ということは、あまりないかもしれませんよね。ですから、家庭の中で意識して「机と椅子」を利用しましょう。
お絵かきでも粘土遊びでも、なんでもいいので、使うものをテーブルの上に準備して、45分時間を計ってみましょう。事前にトイレに行っておき、テレビも消す。必要なものがあれば、親が取りに行きます。45分座っていることができればカレンダーにシールを貼るなどして、子どもの意欲を引き出しましょう。親も同じテーブルについて、読書や手芸の時間にするといいようです。時間の感覚を体感させておくと「45分座っておくことができる」という自信につながることでしょう。
ついつい悪ふざけが過ぎてしまう子には「まじめに受け答えする」練習もいいですね。小学校入学というのは子どもにとっても、大きな階段を登る誇らしさを感じるイベントです。「おにいちゃん/おねえちゃんになるんだ!」という子どもの意欲を大事にして、ふざけたり茶化したりせず自分の気持ちや意見を伝えられたら「とてもかっこいいね!」とほめちぎりましょう。
【関連記事】