愛犬のグルーミングは自分でやる派ですか? それともドッグサロンにお願いする派ですか?

グルーミングの意味

愛犬のグルーミング

時間をかけ過ぎないようにするのもグルーミングに慣らすポイント/(c)DAJ/amanaimages

グルーミングは犬の被毛や皮膚など、体全体を健康に保つ他、愛犬と触れ合うことでコミュニケーションにもなり、また、体に触れることで異変にも早く気づくことができ、健康チェックの意味合いもあります。

せめてブラッシングや爪切り、耳そうじなどの基本的なグルーミングは飼い主自身の手で行ってあげたいものですが、中には自分ではできない、犬がやらせてくれない、などの理由でドッグサロンにお願いしている人も多いことでしょう。

グルーミングの仕方がわからず自分ではできないという場合は、練習をすればできるようになる可能性がありますが、犬がやらせてくれないという場合は少々困りもので、実際ドッグサロンを覗くと暴れたり、トリマーさんに噛みつこうとしたりするようなコもいます。どうしてそうなってしまうのでしょう?

グルーミング嫌いになった理由

理由としては以下のようなものが考えられます。
  •  体を触られることに慣らされていない。
  •  ブラシや爪切りなどその「物」に慣らさず、いきなり使用したことにより、不快や恐怖を感じてしまった。
  •  毛玉を無理に梳かそうとしたり、爪を切り過ぎて出血させたり、ブラシのかけ方が乱暴、犬の体に痛みがある時にグルーミングをしたなど、グルーミングによって痛みを感じたことがトラウマになっている。
  •  犬の体を無理に押さえつけようとしたり、無理な体勢をとらせたりした。
  •  言うことをきかないので、叱ったり、体罰を与えてグルーミングをした。
  •  グルーミングに長時間をかけた。 
  •  愛犬との関係がうまく築けていない。           など

慣らすこと、無理はさせない、そして手短に

グルーミングに慣らすのも、やはり社会化の最適期と言われる生後3週齢~生後3ヶ月齢くらいの間がベストです。初めてブラシやコーム、爪切りなどを使う場合には、できれば犬の近くに置いておき、犬が匂いを嗅いだりしてそれに興味をもちだしたら部分的に梳かしてみて、おとなしくやらせるようなら褒めてあげる(ご褒美を与える)、大丈夫そうならまた少し梳かして褒めるなど、少しずつ段階を踏んで慣らしていくとより慣れやすくなるでしょう。

意外にありがちなのが、ブラシのかけ方が荒くて犬にとっては痛い、動かないように体を無理に押さえつける、無理な体勢をとらせる、だらだらと長い時間をかけ過ぎる、ドライヤーであれば近距離で長時間あて過ぎる、といったようなこと。

特にスリッカーブラシは針金状の作りになっているので、ブラシを強くかけ過ぎると犬に痛い思いをさせ、皮膚にも傷をつけてしまいますので力加減にも注意が必要です。

グルーミング中は犬を保定しつつも、少しでも楽な姿勢でいられるように気配りすることも大切でしょう。犬の肩の関節は人間のように横には開かず、前後に動くようになっています。開かないのに無理に横に広げたりすれば、犬にとっても苦しいことになります。

また、ドライヤーの場合、実際に近距離で長時間あて過ぎたことにより熱中症になりかけたケースもあります。自分にもドライヤーをあててみて、どのくらいの熱になるのか確認することも必要だと思います。

グルーミングで受ける犬のストレスを考える

基本的に、犬は人間の手で撫でられることを好み、またそれによって落ち着くこともできますが、特殊とも言えるのがグルーミングの時間。グルーミングを受ける犬と担当するトリマーさんを対象にしたユニークな研究報告があります。グルーミングを受けている犬の唾液中に含まれるコルチゾール濃度変化を調べたもので、トリマーさんは仕事歴が3年以上のグループと3年未満のグループに分けられました。

グルーミング開始後、どちらのグループでも犬のコルチゾール濃度は上昇しますが、明らかに経験豊富なトリマーさんと若手トリマーさんとでは差があります。ブラッシング・爪切り・耳そうじ・足裏やお尻回りの毛のカットといった基本的なグルーミングにおいて、その差はかなり開きがあり、若手トリマーさんの場合は犬のコルチゾール濃度が一気に上昇します。一方、ベテラントリマーさんになると同じ基本作業であっても犬はわりと落ち着いているのです。

その差は何か? ベテラントリマーさんでは基本的グルーミングにかける時間が平均6分30秒だったそうですが、若手トリマーさんの場合は18分ほどかかっています。合わせてベテラントリマーさんは犬に声をかけたり、保定したりする回数も多く、かつ犬が楽な姿勢でいられるように気配りする様子も顕著だったということです。

これはトリマーさんが対象なので、飼い主さん自身がグルーミングした場合にはコルチゾール濃度もそれほど上がらずに済むのかもしれませんが、だとしても爪切りやシャンプーというのは犬にとってはなかなか大好きなものにはなりにくいでしょう。少なからずストレスがかかっているのではないかと考えられます。であるなら、時間をかければかけるほど犬にとってストレスになり、グルーミングが嫌いになる理由づくりにもなってしまうでしょう。

この研究では、基本的グルーミングは10分以内で終えるようにすればコルチゾール濃度上昇を抑えられるかもしれないとしています。だからといって時間を気にし過ぎて乱暴な扱いをするのでは本末転倒ですが、グルーミングはやはりなるべく短時間でささっと済ませてあげるのが、犬をグルーミング好きにする1つのポイントにもなるのではないでしょうか。


参考資料:
グルーミング作業におけるイヌのストレスと作業者の行動との関係/田所理紗、土田あさみ、小川博、増田宏司/ヒトと動物の関係学会誌、Vol. 39 65-72(2015)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。