新型スズキ・アルトは低価格化の工夫が随所に
2014年末に発売された新型スズキ・アルトは、燃費スペシャルのアルト・エコも統合された新型モデルで、燃費、車両価格など経済性の高さが優れていることが大命題だ。
外観で目を惹くのは、バックドアはミディアムグレー塗装になる2トーンバックドア仕様だろう。マスキングと手塗りが必要なルーフの別色化よりも工程が少なそうで、コストの抑制につながるのでは? という予想もしてしまう。
また、エクステリアは加飾パーツなどが少ない直線基調のシンプルなものだが、まるで「メガネ」を掛けたかのようなフロントマスクや、シャープなキャラクターライン、力強いショルダーラインなどにより、加飾やエアロ系パーツに頼らない印象的なフォルムに仕上げている。
軽さこそ武器を再確認!
ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1475mmで、車両重量は610~700kg。JC08モード燃費は、最新の「S-エネチャージ」を搭載せずに従来の「エネチャージ」で最高で37.0km/Lを達成
いきなり話は逸れるが、私が普段乗っている自転車は9.0kg程度のカーボン製クロスバイク。一方で、自転車単体で30kgを超える子ども乗せ3人乗りアシスト付自転車にも時々乗ることがある。
前者がいかに軽く、後者が重いかは自転車に乗ったことのある方ならお分かりだと思うが、クルマも例外ではない。
新型アルトは610kg~700kgという軽量ボディが自慢で、ハイト系モデルのスズキ・スペーシアよりも190~230kgも軽い。軽ハイトワゴンで最大級の広さを誇るダイハツ・ウェイクは1000~1060kgだから約400kgもの差がある。
これだけアルトが軽いと、どの仕様に乗っても全速度域で軽さを実感できる。走り出しから加速時、高速道路での巡航時も軽々と速度を維持する。
軽すぎると乗り心地が逆に不安になるが、苦手にしそうな高速道路でも意外と安定感があって悪くない。街中で路面によっては縦方向の揺れが大きめになるが、価格を考えると十分に許容範囲だ。
また、超高張力鋼板などの採用により軽量化と高剛性化が図られているが、実際にしっかりした走りのフィーリングとして伝わってくる。
エントリー価格といえる設定、そして軽量化となると遮音材や吸音材などの使用も限られてくるだけに案の定、音・振動の面ではやや辛さもある。とくに、リヤタイヤ周辺からのノイズは盛大に車内に伝わってくるし、試乗時が雨天だったこともあって停止時は雨音、走行時もシャーと水を切る音が車内に盛大に侵入してきた。
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