血液は120日で入れ替わる!新陳代謝と臭いの関係
口臭や体臭が発生するメカニズムを知ることは、臭いを制するための第一歩。口臭と体臭では若干メカニズムは異なりますが、基本的な要素は同じ。最近は臭いに関する様々な情報がCMなどで流されています。正しい情報も少なくありませんが、視点や論点が少し「商品を売ろう!」寄りすぎて、偏った情報も多く見受けられます。まず理解しなければならないことは、私たちの体は毎日摂っている食べ物や飲み物が、消化器によって消化され、新陳代謝によって血や肉やエネルギーとなって作られているということです。当たり前のことですが、このことをしっかりと理解することはとても重要です。
時々刻々と私たちの体は新しいものに作り替えられ、古くなったものは排泄。その入れ替えのサイクルは様々ですが、例えば生命維持に欠かせない重要な要素である血液中の赤血球は、約120日で入れ替わっています。
このように、体は毎日の食べ物で刻々と作り替えられていますから、臭いの原因の根本は、この「食べ物」にあることは理解できます。しかしこれは、ニンニクを食べたから口や体がニンニク臭いという単純なメカニズムではありません。
ニンニクを食べた時の臭いがそのまま口臭や体臭になるわけではありません。もしそうなら、餃子を食べたら、口からも身体からも餃子の臭いがするはずですが、実際はもっと不快な臭いとなって現れます。
なぜ体臭や口臭がする?臭い発生のメカニズム
ここで、臭い発生のメカニズムをいくつかのステップでみてみます。第1に、口臭や体臭は、食べ物や飲み物に含まれる「たんぱく質」「炭水化物」「脂質」「ミネラル」「ビタミン類」「繊維成分」「香気成分」「アミノ酸」「その他の微量成分」「添加物」「残留農薬」とその摂取された量とバランスによって変化します。
第2に、摂取されたものは消化器によって消化されますが、その種類や量によって消化のされ方も様々。特に、口臭や体臭の原因物質である含硫アミノ酸(硫黄を持ったアミノ酸で、メチオニンやシスチンなど)や、脂臭さの元になる動物性脂質を多く含む「肉」などを消化能力を超えて食べ過ぎると酷くなります。
消化器で十分に消化されず、腸内環境が極端に悪化し、腸内に悪玉菌が増えることが原因です。
こうなると、腸内では食べたものの腐敗が始まり、その腐敗したニオイ成分が腸管から吸収されて、血液に流入します。血液中に増えたニオイ成分は、血液から汗腺、皮脂腺、唾液などの分泌物を通して排泄されます。
普段の食生活も臭いに影響が?
第3に、食べすぎや飲みすぎ、偏食が引き起こすもの。通常は腸管から吸収された様々な成分は、門脈を経由して肝臓に運ばれます。肝臓ではシトクロムP450をはじめとする様々な酵素群が、これらの成分を栄養成分として利用しやすい形にしたり、毒性のあるものを中和したりします。しかし、食べ過ぎ&飲み過ぎや食事が偏ると、肝臓での代謝が間に合いません。栄養として利用できない形のまま血液に出てしまったり、毒性が中和されないまま血液に出てしまったりします。
これらの成分は、そのまま体の全ての臓器や器官に運ばれ、代謝が上手くいかなかったり、毒性物質が臓器や器官にダメージを与えてしまったりします。
上記の3つの原因が複合し、口臭や体臭などのニオイの原因の基本を作ってしまうのです。
また、食生活が乱れると、血液中に未消化な成分や毒性のある成分が流れ出るだけでなく、肝臓そのものにもダメージを与えます。慢性的な肝臓の炎症、脂肪肝から肝硬変、肝がんに移行することも少なくありません。こうなると、臭いの負のスパイラルが始まり、加速度的に増えてしまいます。
食を制して、ニオイを制する方法
身体の臭いと食が密接に関係していることはわかりましたが、それでは具体的にどのようにしたら良いのでしょうか。1つ目は、飲み過ぎや食べ過ぎに注意し、腹七分目から八分目を心がけることで、腸内や血液内に大量の臭い原因を増やすことを抑えられます。
2つ目が、食べ物を良く噛んでゆっくり食べることを心がけることで、食べ物が細かくなり、消化しやすくなります。また、唾液中のジアスターゼなどの消化酵素が消化を助けてくれます。食べたものをしっかり消化して、未消化成分を身体に残さないことが、臭い対策では重要。
良く噛んでゆっくり食べることのメリットはもう1つあります。早食いをすると、脳の満腹中枢が満腹を感じづらくなるため、食べ過ぎてしまいます。しかし、良く噛んでゆっくり食べることで、腹七分目から八分目でも満腹中枢が働きはじめ、十分に満腹感を得ることができるのです。
食事内容も要チェック!
そして、食事のバランスを整えることが3つ目に注意すべきこと。最近ではCMなどサプリメントの必要性が宣伝されていますが、普通のスーパーで売っている食材だけでも、頭を使ってバランスよく食べれば、ほとんど必要ありません。また、体に良いとされる成分を摂取しても、かえってバランスを崩すこともあります。むしろ、健康を目指す時間や費用に余裕があるなら、1、2品でも1日に食べる食材の種類を増やす方が、臭い対策には有効。1日に食べる食材の種類は、30種を目標にすると良いでしょう。
30種類というと多いように見えますが、メインのおかずとは別に、小鉢を増やしたり、ゴマを振りかけたり、五穀米や十穀米などを入れたりすることで、案外簡単に達成します。
4つ目は、繊維成分や葉緑素を積極的に取り入れること。繊維成分は腸内環境を改善して、便通を良くします。また、繊維成分は腸内の乳酸菌などの善玉菌を増やす効果があるとされています。最近は、腸まで届くとされる特定保健用食品のヨーグルトなどが注目されていますが、それよりもまず繊維成分をしっかりとることが先です。
また、野菜の中でも葉緑素が多く含まれる青菜をしっかり摂ることで、臭い成分を中和して、消臭する効果や腸内の善玉菌を増やす効果を得られます。食事で摂ることが一番ですが、質の良い青汁などを飲むのも悪くありません。
体の臭い対策に効果があるとされるサプリメントや商品が世の中に溢れていますが、まず、上に述べたことをしっかり行うことが基本。その上で、いろいろな対策を付加するのが効果的ですし、それなくしては何を使っても効果はほとんど期待できません。
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