かつての「フラジャイル・ファイブ」が上位独占
運用成績の「ベスト10」上位に名を連ねたのは、インド、インドネシア、トルコといった新興国の債券に投資するタイプでした。インドネシア、ブラジル、トルコ、インド、南アフリカ5カ国の通貨は、かつて「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5カ国)」と評され、その経常赤字の大きさから、FRB(米連邦準備制度理事会)のQE3(量的金融緩和)政策の縮小により下落が進みやすいと言われていました。インドネシア・ルピアはこの5通貨の中でも特に売りを浴び、2013年中に急落した後、2014年初頭に底を打っています。2014年1月以降の1年間は、こうした反発の動きに加えて、同年10月に発足したジョコ政権に対する期待の高さも、通貨ルピアの回復に寄与しました。
ロシア関連、為替ヘッジ付きは苦戦
一方、運用成績「ワースト10」のランキングでは、主としてロシアの国債に投資するファンドが3位以下を大きく引き離し、1位と2位につけました。原油価格の下落に加え、世界的な原油の供給過多懸念が強まったことで、エネルギー生産国のロシアは昨年10月以降、株価・通貨ともに急速な下落に見舞われました。需給面の改善による下げ止まりも期待されていますが、2014年11月のGDPが約5年ぶりにマイナスに転じるなど、ロシア経済の先行き懸念は払拭しきれていません。
また、為替ヘッジ機能のついたタイプも上位に名を連ねました。円安進行に伴って発生した為替差益を享受できず、マイナス圏に沈んだものが目立っています。