”30歳”を意識した時にそれまで映像で活躍してきた女優さんが舞台に挑戦する理由は先に書いた通りですが、男性俳優の場合はちょっと勝手が違ってきます。と言うのも、男性の場合、40歳を過ぎても刑事モノや時代劇でメインを張れる機会も多く、それまで映像で活躍してきた俳優が35歳を過ぎていきなり舞台にチャレンジ……という例は実はさほど多くありません。
小栗旬、岡田将生、三浦春馬
イケメン俳優達がテレビと舞台の世界を行き来する
では映像で売れている男性俳優が舞台に挑戦するのはいつか。コレ、現状では20代が圧倒的に多いように思います。中でも蜷川幸雄氏演出の舞台には小栗旬さん、岡田将生さん、成宮寛貴さん、綾野剛さん、窪田正孝さんら多くの若手俳優達が参加し高い評価を得ていますし、瑛太さん、向井理さん、松坂桃李さん、三浦春馬さんらのイケメン俳優達も積極的に舞台に挑戦。
またジャニーズ事務所所属のタレント達はトップのジャニー喜多川氏の意向もあり(関連記事 1 2)、テレビやコンサートの現場と並行して多くの舞台に出演しています。更には、渡辺プロダクションが仕掛けるD-BOYSからも和田正人さん、柳下大さん、瀬戸康史さんら、映像と舞台の両方で目立つ活動をする人材が続々と登場。
この現象はここ10年くらいで特に顕著になったと思うのですが、映像で活躍する若手俳優が舞台に出る事は今や一種のステイタス。舞台での演技が高く評価されれば、映像の世界でもキャリアアップへと繋がって行くのです。
興行側は人気の俳優が舞台に出演することによってチケットの売れ行きが良くなり、予算の確保がしやすくなる⇒製作側は旬の俳優を使う事で舞台に勢いを加え、質の高い作品をじっくり作れる⇒出演者は才能ある演出家や劇作家の下(もと)、俳優としてブラッシュアップ出来る。
こんなWin-Winな循環が今、多くの現場で起きています。
最初の”旬”である20代の時に一流のクリエイター達と舞台の仕事をする事で力を付け、30代後半から40代に入った時に実力派として堂々と主役を張れるようになる。ドラマや映画で活躍するイケメン俳優達が拘束時間も長く、ギャランティも安いと言われる舞台に敢えて出演するのはそんな理由も大きいのかもしれません。
演劇=暗い、怖い、小汚い、小難しい=4kと言われたり、舞台に出演=映像で売れなくなった俳優の墓場、なんて認識は過去のもの! 女優さんと男性俳優で状況の違いはあるものの、今や旬の俳優達が舞台と映像の世界を自在に行き来し、シェイクスピア劇と恋愛ドラマを同時に魅せる時代なのです。