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JAL「上級会員」は空港や機内で多くの特典が期待できる
羽田空港の第1ターミナル並ぶ日本航空(JAL)グループの便
上級会員になると、空港や機内などで一般客と異なるさまざまなサービスが用意されています。日本航空(以下、JAL)では、「FLY ON プログラム」というサービスを提供しています。
2024年よりルールが若干変更に。その点も含めてご紹介します。
どうしたら「上級会員(ステータス)」獲得できる?
国内主要空港のJALカウンター前にある専用入口。利用できるステータスが案内されている
JALが提供する「FLY ON プログラム」では、1月から12月までの1年間に乗った搭乗回数、または、搭乗した距離に応じて付与される「FLY ON ポイント」の合計が一定の基準に達した場合、ステータスを獲得できます。
<参考>
JALマイレージバンク - ご搭乗の多いお客さまへ
例えば、JMB(JALマイレージバンク)が提供する中で最も下位のステータス「JMBクリスタル」の場合、以下のどちらかを満たすことが条件となります。
■3万FLY ON ポイント(うちJALグループ便1万5000FLY ON ポイント)以上
■搭乗回数30回(うちJALグループ15回)以上、かつ1万FLY ON ポイント以上
搭乗回数30回は、1カ月での搭乗数が2~3回ペース。1回の搭乗につき、いくら飛行距離が短くても1回とカウントされます。出張で月に数回、飛行機に搭乗するようなビジネスパーソンであれば、それほどハードルは高くないでしょう。
JALの「FLY ON ポイント」って?
搭乗回数の多い利用者向けの案内ページ(JAL公式ホームページより)
しかも、FLY ON ポイントの計算方法は、マイルとは異なります。
FLY ON ポイントは、「フライトマイル×FLY ON ポイント換算率」で計算されます。一般的に、飛行距離が長いほど、FLY ON ポイントは貯まります。例えば、飛行距離が長い欧米路線などだと、国内線に比べて一度でポイントが多く貯まる計算です。
JAL便以外にも、JALが提携する航空会社(ブリティッシュ・エアウェイズ、アメリカン航空、フィンエアーなど)の便であれば、通常はFLY ON ポイントが貯まります。ただ、格安航空券やセール運賃、ツアーなどで利用する際、マイル同様、FLY ON ポイントも一切貯まらないことがよくあります。くれぐれも注意しましょう。
また、JALの場合、行き先によって「1.5倍」「2倍」になります。
■ FLY ON ポイントの換算率(JAL運航便の場合)
- 日本国内線……マイルの2倍
- 中国・香港・アジア・オセアニア便……マイルの1.5倍
- それ以外の国際線(欧米など)……マイルの1倍
日本国内線だと、マイルの2倍が貯まります。つまり、長距離国際線のほうが距離が長いからポイントを貯めるのに絶対有利、というわけではないのです。
FLY ON ポイント貯めるには「予約クラス」が重要
マイルなどの積算率は「利用運賃一覧表」を必ずチェックしよう(JAL公式ホームページより)
例えば、日本国内線の場合。
■運賃1(100%)フレックス、JALカード割引、ビジネスフレックス、離島割引、特定路線離島
- 割引……「2倍」「+400ポイント」
- 運賃2(75%)株主割引……「2倍」「+400ポイント」
- 運賃3(75%)セイバー、往復セイバー……「2倍」「+200ポイント」
- 運賃4(75%)スペシャルセイバー……「2倍」「+200ポイント」
- 運賃5(50%)パッケージツアーに適用される個人包括旅行運賃など……「2倍」のみ
- 運賃6(50%)プロモーション、当日シニア割引、スカイメイト……「2倍」のみ +400、+200とは「搭乗ボーナス FLY ON ポイント」のことです。
特に、最近多い「セール」では、「50%」かつ400 / 200ポイントも積算されず、とても少なくなります。
国際線は「JAL国際線利用運賃一覧表」でチェックできる(JAL公式ホームページより)
なお、国際線も「搭乗ボーナス FLY ON ポイント」が貯まる予約クラスがあります。
フライトマイルとFLY ON ポイントは以下のURLで調べるのが便利です。
<参考>
JALマイレージバンク - マイル数をしらべよう!
「上級会員(ステイタス)」はランクづけされる
JAL国内線で最上級ラウンジ「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」。主要空港のみ設置
■JMBダイヤモンド
■JGCプレミア
■JMBサファイア
■JMBクリスタル
最上位の「JMBダイヤモンド」は、空港や機内など、あらゆるサービス面で優遇されます。
日本国内線だけでなく、JALが加盟する世界の航空連合「ワンワールド」の他社便(ブリティッシュ・エアウェイズ、アメリカン航空など)を利用する際にも、そのステータスが威力を発揮します。
「JMBダイヤモンド」の到達基準は、以下になります(1月から12月までの搭乗)
■10万万FLY ON ポイント(うちJALグループ便5万FLY ON ポイント)以上
または、
■120回(うちJALグループ60回)以上、かつ3万5000FLY ON ポイント以上
月に10回以上、JALグループ便を含む対象便に乗る計算です。飛行機での出張がとにかく多い人以外、ここまで到達するのはなかなか至難の業でしょう。
その下のランクに当たる「JGCプレミア」が80回以上もしくは8万FLY ON ポイント、「JMBサファイア」が50回以上もしくは5万FLY ON ポイント、「JMBクリスタル」が30回以上もしくは3万FLY ON ポイントです。
航空券の予約時からランクに応じて「優遇」される
JALの上級会員になると受けられるサービス、いったいどんなものがあるのでしょうか。「JMBサファイア」を例に、サービスを抜粋します。■ 専用予約デスク、予約時の優先キャンセル待ち
■ 専用カウンターでのチェックイン
■ マイルアップボーナス(区間マイル×利用運賃のマイル積算率×105%)※JALグループ便
■ 到着空港で優先的に手荷物を受け取るプライオリティパッケージサービス
■ 受託手荷物無料許容量の優待
■ 国際線・国内線の空港での優先空席待ち
■ 空港での優先搭乗(国際線)
■ 空港ラウンジの利用 ※サクララウンジまたはそれ相当
空港で出発前にラウンジが利用できると旅がより楽しくなる
この空港ラウンジは、クレジットカードのゴールドカード会員向けに設置されている空港のカードラウンジとは異なり、制限区域内にある航空会社のラウンジです。カードラウンジとの大きな違いは、ビールなどのアルコール類が無料、国際線のサクララウンジだと軽食も無料で提供されることなど。シャワーの設備もあれば無料で利用できます。
JALの上級会員になると世界中で特典が受けられる
羽田空港にあるキャセイパシフィック航空のラウンジ
JALは「ワンワールド」に属しています。ほかに、香港のキャセイパシフィック航空、アメリカのアメリカン航空、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランドのフィンエアー、スペインのイベリア航空、オーストラリアのカンタス航空などが加盟しています。
ワンワールド エリートステイタスには「エメラルド」「サファイア」「ルビー」の3ランクがあります。例えば、JMBダイヤモンドだとエメラルド、JMBサファイアだとサファイア、JMBクリスタルだとルビーになります。
キャセイパシフィック航空のラウンジ名物「ヌードルバー」は香港や羽田などの主要空港にある
ただし気を付けてほしいのは、JALのマイルは貯まるけれども、上級会員としての特典が受けられないケースもあること。
例えば、エミレーツ航空やエールフランス航空、中国東方航空などは「ワンワールド」に加盟しておらず、JALとして提携してはいるものの、基本的に「JALで発券(購入した)航空券」での搭乗でなければ特典は受けられません。
年会費で資格が維持できる「JALグローバルクラブ」
「JALグローバルクラブ」に入会すると年会費を支払うだけで上級会員の資格が維持できる
上級会員の資格は基本的に、1年ごとに条件をクリアしないと次の年も維持することができません。しかし、JALグローバルクラブに入会すれば、年会費を支払うだけで、毎年の条件をクリアしなくても「ワンワールドサファイア」のサービスを受けることができます。
2023年までは「サファイア」に到達すると、入会の資格が得られました。しかし、2024年以降、これまでのJALグループ便の搭乗に加え、ライフスタイルサービスの利用に応じて「Life Status ポイント」が貯まる生涯実績プログラム「JAL Life Status プログラム」で1500ポイント以上が必要になりました。
上級会員になるための「修行」とは?
JALの上級会員になるための搭乗回数を稼ぐのに最も人気だった大阪(伊丹)=但馬線は最新のプロペラ機「ATR」で運航されている
■伊丹=但馬線「但馬修行」で貯める修行僧
例えば、JALグループ便の国内線で、離島路線を除いて最も短い大阪(伊丹)=但馬線は、フライト時間35分。これでも搭乗1回にカウントされます。年始に一気に上級会員の資格を獲得するため、また年末にギリギリ達成するため、同じ区間を1日何往復もする、つまり乗ってきた便でまたすぐ折り返す「タッチ」をする人々も、この路線でよく見かけます。
伊丹=但馬線で回数を稼ぐ利用客を「但馬修行」「但馬タッチ」、その人々は「修行僧」「修行尼」とも呼ばれています。
■国内線は「クラスJ」「ファーストクラス」
一方、国内線では、普通席より上級の「クラスJ」「ファーストクラス」のほうが、FLY ON ポイントも貯まります。
■国際線は「プレミアムエコノミー」以上
国際線では、エコノミークラスは少なめ、それ以上のプレミアムエコノミーのほうがマイル、FLY ON ポイントのいずれも積算率は高く、貯まる数もグッと上がります。
2024年から新ルール、JGC獲得のハードル上がる
2024年から、ステータスを得るための選択肢が増えました。新たに始まった「JAL Life Status プログラム」では、飛行機の搭乗以外でもポイントが貯まり、そのポイント数に応じ、JALグローバルクラブへの入会資格が得られます。
ただ、これまで搭乗回数を重ねてJALグローバルクラブを目指していた人にとっては、入会へのハードルが上がりました。国内線の搭乗で貯まるのは「5ポイント」で、単純計算すると「300回」の搭乗が必要。サファイアが年間「50回」搭乗だったのと比べると、6倍です。
このため、2023年までよく聞かれた「JGC修行」という言葉は、2024年に入るとほぼなくなりました。毎年更新が必要なJMBダイヤモンドやJGCプレミアを目指す人々の「修行」は引き続き変わりません。
飛行機に乗るチャンスがもし多いなら、ステータス(上級会員)の獲得を目指してみてはいかがでしょうか。
※記事の情報は2024年10月時点の情報です
<参考>
JAL 日本航空
JALマイレージバンク