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JALの上級ランク会員(ステータス)を取得する条件とは?

JALが提供するサービス「JMB FLY ON プログラム」。上級会員・ステータスともいわれ、予約優先、空港専用ラウンジ利用、空席待ち優遇、マイルが良く貯まるなど特典が満載のランクです。資格獲得や維持のため乗る人を指して“JGC修行”という言葉もあります。

シカマ アキ

執筆者:シカマ アキ

飛行機の旅ガイド

空港や機内で様々な特典が期待できるJALの「上級会員」

羽田空港の第1旅客ターミナル並ぶ、JAL(日本航空)グループの便

羽田空港の第1旅客ターミナル並ぶ、JAL(日本航空)グループの便

飛行機によく乗る人を対象にした、特別なサービスがあります。年に数回程度のフライトではなかなか手の届かないものですが、月に何回も飛行機に乗る、海外出張もよくある人だと、そのサービスが受けられる「上級会員」になるチャンスです。

上級会員になると、空港や機内などで、一般の搭乗客とは異なるさまざまな特典があります。今回、日本航空(JAL)が提供するサービス「FLY ON プログラム」についてご紹介します。

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どうしたら「上級会員(ステータス)」になれる?

国内主要空港のJALカウンター前にある上級会員専用の入口。利用できるステータスが案内されています

国内主要空港のJALカウンター前にある上級会員専用の入口。利用できるステータスが案内されています

まず、JALの上級会員になるためには、どうすればよいのでしょうか。

JALが提供する「FLY ON プログラム」では、1月から12月までの1年間に乗った搭乗回数、または、搭乗した距離に応じて付与される「FLY ON ポイント」の合計が一定の基準に達した場合、ステータスを獲得できます。

【参考】JALマイレージバンク - ご搭乗の多いお客さまへ

例えば、JMB(JALマイレージバンク)が提供する中で最も下位のステータス【JMBクリスタル】の場合、以下のどちらかを満たすことが条件となります。

■ 30,000FLY ONポイント(うちJALグループ便15,000FLY ONポイント)以上
■ 搭乗回数30回(うちJALグループ15回)以上、かつ10,000FLY ONポイント以上

搭乗回数30回は、1ヶ月での搭乗数が2~3回ペース。1回の搭乗につき、いくら飛行距離が短くても1回とカウントされます。出張で月に数回、飛行機に搭乗するようなビジネスパーソンであれば、それほどハードルは高くないでしょう。

 

JALの「FLY ONポイント」って?

搭乗回数の多い利用者向けの案内ページ(JAL公式ホームページより)

搭乗回数の多い利用者向けの案内ページ(JAL公式ホームページより)

JMBの上級会員になるには、この「FLY ONポイント」がとても大事です。通常のショッピングなどで貯まるマイルとは異なり、飛行機に乗らないと一切貯まりません。

しかも、FLY ONポイントの計算方法は、マイルとは異なります。

FLY ONポイントは、「フライトマイル×FLY ONポイント換算率」で計算されます。一般的に、飛行距離が長いほど、FLY ONポイントは貯まります。欧米路線だと、国内線に比べて一度でかなりのポイント数が貯まる計算です。

JAL便以外にも、JALが提携する航空会社(ブリティッシュ・エアウェイズ、アメリカン航空など)の便であれば、通常はFLY ONポイントが貯まります。ただ、格安航空券やセール運賃、ツアーなどで利用する際、マイル同様、FLY ONポイントも一切貯まらないことがよくあるので、くれぐれも注意しましょう。

■ FLY ON ポイントの換算率(JAL運航便の場合)

- 日本国内線・・・マイルの2倍
- 中国・香港・アジア・オセアニア便・・・マイルの1.5倍
- それ以外の国際線(欧米など)・・・マイルの1倍

日本国内線が2倍なので、長距離国際線のほうが距離が長いからポイントを貯めるのに絶対有利、というわけではないのです。

 

FLY ON ポイント貯めるには「発券クラス」が重要

マイルなどの積算率は「JAL国内線利用運賃一覧表」を必ずチェック(JAL公式ホームページより)

マイルなどの積算率は「JAL国内線利用運賃一覧表」を必ずチェック(JAL公式ホームページより)

JALのフライトマイルとFLY ONポイントは、航空券の「利用運賃カテゴリー」(発券クラス)に応じて積算されます。

例えば、日本国内線の場合。

■ 普通運賃、往復割引、JALビジネスきっぷなど・・・「100%」「2倍」「400ポイント」
■ 特便割引、株主優待券を使った株主割引など・・・「75%」「2倍」「400ポイント」
■ 先得割引・スーパー先得・ウルトラ先得など・・・「75%」「2倍」 ※400ポイントなし

さらに、ツアーやホテルなどがセットになったパック旅行などは「50%」「2倍」で400ポイントも積算されず、とても少なくなります。
 
国際線は「JAL国際線利用運賃一覧表」で確認(JAL公式ホームページより)

国際線は「JAL国際線利用運賃一覧表」で確認(JAL公式ホームページより)

国際線では、利用運賃カテゴリーがさらに細分化されています。「航空券面上のクラス」、そのクラスの「Y」「M」「L」「S」といったアルファベットが積算率に大きく関わります。搭乗ボーナス FLY ONポイントも同様です。購入する前に必ず確認しましょう。

なお、400ポイントとは「搭乗ボーナス FLY ONポイント」のこと。航空券の種類によって、この400ポイントが積算されるか否かもポイントです。

フライトマイルとFLY ONポイントは以下のURLで調べるのが便利です。
【参考】 JALマイレージバンク - マイル数をしらべよう!
 

上級会員(ステータス)はランクづけされる

JAL,上級会員,ステータス

JALマイレージクラブ サービスステータス基準一覧(JAL公式ホームページより)

航空会社のステータスには、搭乗回数などに応じていくつかのランクがあります。JALの場合、基本的に4つのランクに分けられています。

■ JMBダイヤモンド
■ JGCプレミア
■ JMBサファイア
■ JMBクリスタル

最上位のJMBダイヤモンド】は、空港や機内など、あらゆるサービス面で優遇されます。

日本国内線だけでなく、JALが加盟する世界の航空連合「ワンワールド」の他社便(ブリティッシュ・エアウェイズ、アメリカン航空など)を利用する際にも、そのステータスが威力を発揮します。

【JMBダイヤモンド】の到達基準は、以下になります(1月から12月までの搭乗)

■ 100,000万FLY ONポイント(うちJALグループ便50,000FLY ONポイント)以上
または、
■ 120回(うちJALグループ60回)以上、かつ35,000FLY ONポイント以上

月に10回以上、JALグループ便を含む対象便に乗る計算です。飛行機での出張がとにかく多い人以外、ここまで到達するのはなかなか至難の業でしょう。
 
JAL国内線で最上級ラウンジ「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」。主要空港のみ設置

JAL国内線で最上級ラウンジ「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」。主要空港のみ設置

その下のランクに当たる【JGCプレミア】が80回以上もしくは80,000FLY ONポイント、【JMBサファイア】が50回以上もしくは50,000FLY ONポイント、【JMBクリスタル】が30回以上もしくは30,000FLY ONポイントです。

JALで上級会員を取得、維持するなら、「JALグローバルクラブ」への入会資格が得られる【JMBサファイア】が1つの目標となるでしょう。JALグローバルクラブについては、後ほど紹介します。

 

航空券の予約時からランクに応じて「優遇」される

JALの上級会員になると受けられるサービス、いったいどんなものがあるのでしょうか。【JMBサファイア】を例に、サービスを抜粋します。

■ 専用予約デスク、予約時の優先キャンセル待ち
■ 専用カウンターでのチェックイン
■ マイルアップボーナス(区間マイル×利用運賃のマイル積算率×105%) ※JALグループ便
■ 到着空港で優先的に手荷物を受け取るプライオリティパッケージサービス
■ 受託手荷物無料許容量の優待
■ 国際線・国内線の空港での優先空席待ち
■ 空港での優先搭乗(国際線)
■ 空港ラウンジの利用 ※サクララウンジまたはそれ相当

空港ラウンジは、クレジットカードのゴールドカード会員向けに設置されている空港のカードラウンジとは異なり、制限区域内にある航空会社のラウンジです。カードラウンジとの大きな違いは、ビールなどのアルコール類が無料、国際線のサクララウンジだと軽食も無料で提供されることなど。シャワーの設備もあれば無料で利用できます。

 

JALの上級会員になると世界中で特典が受けられる

キャセイパシフィック航空のラウンジ(香港国際空港)

キャセイパシフィック航空のラウンジ(香港国際空港)

世界中の航空会社は、大きく3つのアライアンス(航空連合)に分けられます。「スターアライアンス」「ワンワールド」「スカイチーム」です。

JALは「ワンワールド」に属しています。ほかに、香港のキャセイパシフィック航空、アメリカのアメリカン航空、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランドのフィンエアー、スペインのイベリア航空、オーストラリアのカンタス航空などが加盟しています。

ワンワールド エリートステイタスには「エメラルド」「サファイア」「ルビー」の3ランクがあります。例えば、JMBダイヤモンドだとエメラルド、JMBサファイアだとサファイア、JMBクリスタルだとルビーになります。
JALが提携する世界中の航空会社。これらの航空会社に搭乗した際、航空券によってはJALのマイルやFLY ON ポイントが貯まります(JAL公式ホームページより)

JALが提携する世界中の航空会社。これらの航空会社に搭乗した際、航空券によってはJALのマイルやFLY ON ポイントが貯まります(JAL公式ホームページより)

例えば、香港へ行く場合、キャセイパシフィック航空でチケットを購入した時でも、JALの上級会員であれば、ステータスに応じた特典を受けることができます。セール運賃、ツアー、特典航空券などマイル積算対象外の運賃であっても、ステータスに応じたサービスが受けられます。

ただし、気を付けてほしいのは、JALのマイルは貯まるけれども、上級会員としての特典が受けられないケースもあること。例えば、エミレーツ航空やエールフランス航空、中国東方航空などは「ワンワールド」に加盟しておらず、JALとして提携はしてはいるものの、基本的に「JALで発券(購入した)航空券」での搭乗でなければ特典は受けられません。

 

年会費で資格が維持できる「JALグローバルクラブ」

「JALグローバルクラブ」に入会すると年会費を支払うだけで上級会員の資格が維持できます

「JALグローバルクラブ」に入会すると年会費を支払うだけで上級会員の資格が維持できます

【JMBサファイア】に到達すると、「JALグローバルクラブ」に入会することができます。

上級会員の資格は基本的に、1年ごとに条件をクリアしないと次の年も維持することができません。しかし、JALグローバルクラブに入会すれば、年会費を支払うだけで、毎年の条件をクリアしなくても「ワンワールドサファイア」のサービスを受けることができます。

そのため、JALの上級会員を目指す人にとって大きな目標の1つとなっています。

 

上級会員になるための「JGC修行」とは

JALの上級会員になるために搭乗回数を稼ぐため最も人気なのが大阪(伊丹)=但馬線。最新のプロペラ機「ATR」で運航されています

JALの上級会員になるために搭乗回数を稼ぐため最も人気なのが大阪(伊丹)=但馬線。最新のプロペラ機「ATR」で運航されています

飛行機にひたすら乗って、JALの上級会員を目指す人もいます。JALの場合、1月から12月までのFLY ONポイントのほか、搭乗回数に応じて上級会員になることができるからです。マイルが積算される搭乗クラスであれば、どの路線も1回とカウントされます。(ちなみに、ANAでは搭乗回数では上級会員にはなれません)

例えば、JALグループ便の国内線で、離島路線を除いて最も短い大阪(伊丹)=但馬線は、フライト時間35分。これでも搭乗1回にカウントされます。年始に一気に上級会員の資格を獲得するため、また年末にギリギリ達成するため、同じ区間を1日何往復もする、つまり乗ってきた便でまたすぐ折り返す「タッチ」をする人々も、この路線でよく見かけます。

伊丹=但馬線で回数を稼ぐ利用客を「但馬修行」「但馬タッチ」、その人々は「修行僧」「修行尼」とも呼ばれています。
 
兵庫県北部にある但馬空港。周辺には城崎温泉や竹田城跡などがあり、ただ立ち寄るだけでなく観光もおすすめ

兵庫県北部にある但馬空港。周辺には城崎温泉や竹田城跡などがあり、ただ立ち寄るだけでなく観光もおすすめ

また、鹿児島発着で奄美群島の離島を巡る「アイランドホッピング」で搭乗回数を稼ぐ人も。例えば、朝に羽田または伊丹から鹿児島に向かい、奄美大島や喜界島、徳之島などへ向かうルートです。JALがツアーとして販売してます。さらに、羽田などから那覇に行き、那覇=宮古をひたすら往復するパターンも。

(参考)
跳び飛びの旅 小型プロペラ機でホッピング 2・3日間(JAL)
 
JAL国際線「プレミアムエコノミー」の座席

JAL国際線「プレミアムエコノミー」の座席

一方、国内線では、普通席より上級の「クラスJ」「ファーストクラス」のほうが、FLY ONポイントも貯まります。

国際線では、エコノミークラスは一般的に、やや運賃が高めの発券クラスでのみ貯まる傾向があります。つまり、お得なセール運賃は自社便であっても貯まりづらい傾向にあります。

購入段階から、プレミアムエコノミー以上のほうがマイル、FLY ONポイントのいずれも積算率は高く、貯まる数もグッと上がります。

 

混雑時の「空席待ち」でありがたい体験談

JALの、空港での空席待ち。「ステータス」に応じた優先順位を表示する案内

JALの、空港での空席待ち。「ステータス」に応じた優先順位を表示する案内

上級会員(ステータス)で受けられるサービス、人によってありがたいと感じるものは違います。ガイドが最もその恩恵に預かったのが、混雑時の空席待ちです。

ある自分が予約していた便が、到着空港に着陸できずに別の空港に向かう「条件付き運航」になった時、1つ前の便に変更したい搭乗客の空席待ちがカウンターに殺到しました。およそ400名乗りの飛行機はすでに満席、それでも【JMBダイヤモンド】をはじめとした「種別S」の空席待ち人数だけで100名を超え、空席待ちの対応がその種別S、Aを持つ人のみに絞られました(空席待ちは種別S、A、B、Cがある)

種別Sが【JMBダイヤモンド】と【JGCプレミア】など、種別Aが【JMBサファイア】と【JMBクリスタル】などが該当し、空席待ちの割り振りは通常、種別S→A→B→C……という優先順位になります。

そのため、先にいくら空席待ちを申請しても、自分が種別Aなら、種別Sが入ってくると後回しになります。結果的に、種別Aを持っていた自分は、なんとか空席待ちの最後に滑り込み、搭乗することができました。

閑散期や空いている便ならあまり関係ありませんが、お盆や年末年始、大型連休などの繁忙期、台風などの天候不順などによって欠航や遅延が続出した際など、上級会員であるメリットはとても大きいです。

ほかに「手荷物が最優先で出てくる」「チェックイン(搭乗手続き)時に長い列に並ばずに済む」「優先搭乗できる」「ラウンジが使える、シャワーもある」「手荷物が優先で出てくる」など、その恩恵を受けるたびにステータスを所有するメリットを実感させられます。専用デスクの電話も一般回線よりも随分と繋がりやすいです。

飛行機に乗るチャンスがもし多いなら、サービスステータスの獲得を目指してみてはいかがでしょうか。

※記事の情報は2019年6月時点の情報です


【関連リンク】
JAL 日本航空
JALマイレージバンク

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