いわゆる大人の事情ではなく、世界観に合致するかどうかというシンプルな選択が重ねられた要素で構成されているのが深夜ドラマ。ポスター、ホームページ、音楽、映像、どれもトコトンこだわった仕事を見せるのが強みで、ドラマ全体が1つの芸術作品的な完成度を見せるものも少なくありません。
『モテキ』ではオープニングやエンディング曲はもちろん、劇中で何曲も流れる”懐かしソング” がその世界観を強固なものとしています。
ノスタルジックな『リバースエッジ 大川瑞探偵社』やスピンオフドラマ『警部補 矢部謙三』、ミニドラマ『深夜も踊る大捜査線 湾岸署史上最悪の3人!』など、エッジが効いた作品は深夜枠ならではと言えそうです。
■テレビのスケール感を活かす
映像技術の発達で、テレビドラマも急激に様変わりし、さらにダイナミックで迫力あるシーンが可能になりました。視聴者は煽られ薄気味悪さや不気味さをを倍増させます。
しかし、深夜枠においてはアナログ的映像がまだまだ活きています。『怪奇恋愛作戦』の妖怪は手作り感たっぷりですし、『山田孝之の東京都北区赤羽』では、アップや360度回るカメラなんていうこともありません。チープ感を演出することが狙いの時もありますが、画面のなかにグッと親近感を抱き、ホッとする感じがします。過度な映像技術が施されない深夜ドラマには温度を感じます。
■起承転結というルールからも解放される深夜特区ドラマ
ドラマでは、どんな風に話を盛り上げ、どんな風にクライマックスを迎えと様々に戦略を練ることが、当然のことのように思います。しかし、深夜ドラマにおいては、そういった手法をとらないことも多いように感じます。もちろん『SP 警視庁警備部警護課第四係』や『カラマーゾフの兄弟』のように、ハラハラドキドキ、次週の展開が気になってしかたないものもありますが、クライマックスに向かって盛り上がる必要のないドラマ、右肩上がりの絶対曲線を意識しないドラマが成功しているのも深夜ドラマならではです。
『33分探偵』や『孤独のグルメ』『深夜食堂』など、特に大きな変化を見せません。しかし、ごく日常の淡々とした風景を描くドラマもドラマチックなのです。