歯周病

歯科医が勧める!電動歯ブラシに切り替えた方が良い人

最近の電動歯ブラシは、小型化が進み軽量でコンパクト、持ち運びも可能なものが主流になっています。歯科医師の目線で電動歯ブラシの効率的で有効的な利用方法について説明します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

本当に良くなった性能!

電動と普通の歯ブラシ

普通の歯ブラシで磨けていない人には特にオススメ。

昔の電動歯ブラシといえば、大きい、重い、動きが荒いの3拍子が揃っていて、使い勝手が悪くてとてもお勧めすることのできない感じのものでした。しかし最近の電動歯ブラシは、小型化が進み軽量でコンパクト、持ち運びも可能なものが主流になっています。

さらにヘッドの動きも、音波振動やスムーズで無理がない動きのため歯を痛めにくく、プラークや着色もきれいに落としてくれます。自動設定で歯磨きの時間を2分程度にしているメーカーが多いことからわかるように、効果的にプラークの除去が可能になっているのです。単純にプラークを落とす性能面を比較すれば、手で磨くより歯を傷めずに汚れがよく落とすことが可能だということが納得できるのではないでしょうか。

コンパクト?上位機種?オススメはどれ

その中でもガイドがオススメなのが、歯に当てるだけで汚れが落ちる設定となっている上位機種です。上位機種の電動歯ブラシの最大のメリットは、「テクニックが不要」だということ。ブラッシング指導など、歯ブラシの動かし方という難しいテクニックについての解説が不要になっているのです。

廉価版のコンパクトで、振動が補助的に作用するタイプのものは、以前のように歯ブラシを動かす必要があります。しかし、持ち運びが可能で携帯性には優れています。

電動歯ブラシに切り替えた方が良い人とは?

高齢化社会では、それまで普通の歯ブラシでしっかり磨けていた人が、リウマチや脳梗塞の後遺症、認知症などで磨けなくなるケースもよく見かけます。この場合は別の意味で困った状況になります。それまでの歯磨きがよくできていた人は、当然多くの歯が残っています。しかし歯磨きがしっかりできなくなると、今度は残っている歯が全て虫歯になるリスクにさらされていくのです。

さらにせっかく歯の神経を抜くことなく維持できていたとしても、歯磨きをできなくなくなるだけで、それらが次々に虫歯になって痛みを生み出すことになってゆく……。高齢になって体の自由が利かない状態から、長期にわたって虫歯の治療を繰り返す、このようなケースも臨床ではよく見かけます。そんなとき、電動歯ブラシを利用することによって、実際に虫歯リスクの大幅な改善が見られたこともありました。

普通の歯ブラシでしっかり磨けているような人は、あえて電動歯ブラシに変更する必要はないかもしれません。

電動歯ブラシを積極的に導入したほうが良いと考えられるケース

  • 歯磨きに自信がない人
    歯磨きはするが手があまり動いていない人。年齢に関係なくブラッシングテクニックが基準以下であれば、電動歯ブラシのほうが良い結果に繋がります。
     
  • 手が以前のように動かせなくなった
    年齢とともにそれまでしっかり手を動かせていたことが、できなくなった場合
     
  • 歯に着色が多い
    手で磨くと余分な力が入ったり磨きすぎたりして、逆に痛めるおそれもあります。電動歯ブラシであれば、専用チップや着色落とし用のモードがあり、歯を傷めずに着色を落とすことも可能です。

  • 残っている歯の本数が多い高齢者
    残っている本数が多いということは、それだけよく歯磨きをしてきたという証拠。しかしそれまでより虫歯発見のペースが早くなるようであれば、ブラッシングのテクニックが衰えてきているかもしれません。

  • 歯磨きを他人にしてもらう場合
    他人の口の中をしっかり磨くということは大変難しいことです。介護などで自分で歯を磨く事が困難になった場合には、電動歯ブラシはとても有効です。

電動歯ブラシが効果的でないケース

  • 歯の間にものが挟まった場合
    歯の間に物が挟まっている場合には、電動歯ブラシよりも歯間ブラシの使用がオススメです。
     
  • 歯並びが悪い場合
    歯並びが悪い場合には、電動歯ブラシの毛先が十分に接触しないこともあるので、使用後にデンタルフロスなどの補助清掃器具の使用が必要となります。

上記2つのケースでは、普通の歯ブラシでも磨くことができないことも多いため、明らなデメリットというわけではありません。

電動歯ブラシの使い方のポイント

電動歯ブラシの使い方のポイントは「適所に当てる」これだけです!動きは電動歯ブラシ自体がコントロールするために、当てさえすれば汚れが落ちます。歯周病予防のためには、歯と歯ぐきの境目、虫歯であれば歯の溝と歯と歯の境目に毛先を当てるのが重要になります。あとは歯並びに沿って「外側」「咬み合わせ面」「裏側」をたった20秒ずつ上下2分で完了です。

最後に磨き残しの心配がある部分に関しては「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」などの補助清掃器具を1分間使用すれば、ちょうど3分間でかなりの汚れを落とすことができるはずです。


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