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生き抜く力を育む 『3.11が教えてくれた防災の本』

地震などの災害時、どのようにしたらいいのか家族で話し合ったことはありますか? 防災グッズは揃えたけれど、親子がバラバラのとき災害にあったらどうするか、話題にしたことがないという方も多いのではないでしょうか。「釜石の奇跡」を起こした片田先生の『3.11が教えてくれた防災の本』で、心にも備えをしておきましょう!

高橋 真生

執筆者:高橋 真生

子育て・教育ガイド

"釜石の奇跡"から学ぶ『3.11が教えてくれた防災の本』

子ども写真

親子がバラバラのとき、地震にあったらどうしたらいいか、お子さんはご存じですか?

2011年3月11日の東日本大震災。このとき、津波からの避難訓練を8年間重ねてきた岩手県釜石市内の小中学校では、全児童・生徒計約3千人が即座に避難し、生存率99.8%という成果を挙げました。「釜石の奇跡」と呼ばれています。

元々津波の災害の多い三陸地方には「つなみてんでんこ」という言い伝えがありました。家族を助けにいこうとして命を落とすことのないよう、「津波がきたら、親も子どももおたがいのことは心配せず、真っ先ににげよう」という意味です。

避難訓練の指導者片田敏孝先生は、訓練時に、子どもに対しては「自分は絶対に逃げると親に伝えなさい」と、親に対しては「子どもを信頼して、まずは逃げてほしい」と伝えられたそうです。つなみてんでんこが成り立つためには、家族が自力で逃げているという信頼が必要なのです。

それでは、突然やってくる災害に慌てず、何をしたらいいのか考える力― 非常時を生き抜く力は、どうやってつけられるのでしょうか。片田先生がはじめて子ども向けに監修された『3.11が教えてくれた防災の本』は、そのよい助けになる本です。

新しい防災教育「避難の3原則」

今、新しい防災教育として覚えておきたいと言われているのが「避難の3原則」です。

  1. 想定にとらわれるな!
  2. 最善をつくせ!
  3. 率先避難者になれ!

どんな状況になっても、あきらめずに自分の力で考え、最善を尽くすこと。そのためには、日ごろから訓練したり知識を得たりすることがとても大切です。

『3.11が教えてくれた防災の本』は、地震・津波・二次災害・避難生活の4冊で構成されており、知識の面を充分に満たしてくれます

どの巻も「ひとりで自宅にいるときは、どうする?」「避難所で、少しでも気持ちよく、くらすには?」などの基礎知識を10問10答で解説しています。見開き1問なので見やすく、何が重要なのか一目で分かります。

ハザードマップ作り写真

「自分自身のハザードマップ」を持つことも重要とされています。日頃から、危険なところ・安全なところについて見る目が大切ですね


また、写真や震災を体験された先生方の声が多数掲載されているため、状況がスッと伝わってきます。また、導入部が絵本仕立てで、本に入っていきやすくなっています。

起震車写真

絵本部分で描かれた地震の揺れを体験できる「起震車」での様子。地域の防災訓練などで来ていたら、大人でも体験しておきたいですね


災害時に、家族が必ずそろっているとは限りません。親子がバラバラの時に災害にあったらどうすればいいのか、この本を子どもと一緒に読んで、具体的に考えておきたいですね。そして、いざという時に自分の命を守る力をつけてほしいと思います。


群馬大学災害社会工学研究室
釜石小学校の避難訓練の様子が紹介されています。

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