戦後日本を代表する建築界の巨匠・丹下健三が残した、1949年から1959年に撮影した約2000枚の写真をコンタクトシートで観賞するというユニークな展示です。
本展が初公開となる70余点に及ぶコンタクトシートからは、若き建築家の思索と葛藤の痕跡が生々しく伝わってきます。この機会にぜひご覧ください。
会期:2015年1月23日(金)-3月28日(土) 開館:11:00-18:00
休館:日曜・月曜・祝日 ただし3月22日(日)は開館 入場無料
会場:TOTO ギャラリー・間 東京都港区南青山1-24-3 TOTO 乃木坂ビル3F
TEL=03-3402-1010 URL=www.toto.co.jp/gallerma/
主催:TOTO ギャラリー・間 企画:TOTO ギャラリー・間運営委員会+原研哉
監修:岸 和郎 ゲストキュレーター:豊川斎赫 企画協力:内田道子
カメラを片手に「成城の自邸」の工事現場を訪れた丹下健三。1935年頃(撮影者不明)
コンタクトシートから読みとる丹下健三の思い
照明を落とし黒い壁に囲まれた3階と4階の会場には、黒く細長いテーブルが並行に伸び、その上に丹下健三が撮影したモノクロ写真のコンタクトシートが置かれています。会場を訪れた人は、傍らに置かれたルーペで拡大しながら写真を観賞するという展示になっています。コンタクトシートには、丹下自身によるトリミングの指定が赤や青の線で残されています。これにより建築家が写真を通して何を表現しようとしていたのかを読みとる事ができます。
なお、壁の年表に引かれた赤いラインは、展示台上の写真と時系列で繋がっています。このユニークな会場構成は、ゲストキュレーターの豊川斎赫氏と若手建築家・木下昌大氏によるものです。
照明を落とした会場にコンタクトシートが浮かび上がる。 壁の年表と展示台の写真がリンクする。
展示台には80枚近い35mmフィルムのコンタクトシートが解説付きで展示されている。©丹下健三
「広島平和会館原爆記念陳列館」の建設中(1952年)と1955年の原爆慰霊祭での写真。トリミングを指示した赤や青の線が残る。©丹下健三
通常の建築写真のセオリーに反し、カメラを斜めに構えて撮影された「旧東京都庁舎」。1957年 ©丹下健三
「香川県庁舎」の低層棟のピロティと高層棟の夜景。1958年 ©丹下健三
中庭に並ぶ大型写真
3階の中庭の壁面には「桂離宮新御殿」を中心に、左に「広島平和会館原爆記念陳列館本館」と「成城の自邸」、右に「倉敷市庁舎」と「香川県庁舎」の大型写真が並んでいます。これらは桂離宮の繊細な木造の木割りを、丹下が現代建築に反映させた例として見ることができます。庭に置かれた「旧東京都庁舎」と「成城の自邸」の空撮写真は、外階段を上がり4階のデッキから観賞するようになっています。
デッキから中庭の大型写真を見る。手前は「成城の自邸」の空撮写真。
建築会館で関連シンポジウムを開催
本展の関連イベントとして、丹下の10回忌に当る3月22日に「丹下健三没10年『今、何故、丹下なのか』を問う」と題したシンポジウムが開催されます。この機会にぜひご参加下さい。日時:2015年3月22日(日)13時開場、14時開演、17時30分終演(予定)
会場:建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)
定員:350名 参加費:無料
参加パネリスト:建築家・岸 和郎、建築家・北山 恒、建築史家・土居義岳、
建築家・内藤 廣、建築家・山梨知彦、建築家・米田 明
講演及びモデレーター:豊川斎赫
参加方法:事前申込制。2015年2月15日(日)までに、下記のTOTO ギャラリー・間
ウェブサイトよりお申し込みください。www.toto.co.jp/gallerma/
抽選の上、2015年3月13日(金)までに結果の連絡があります。
TOTO出版より関連書籍も刊行
本展の内容を網羅した書籍がTOTO出版より刊行されました。没後10年目という節目に刊行された本書は、「世界のTANGE」になる前の若き建築家の足跡であり、新たな丹下健三の歴史的な資料としても大きな価値を持っています。
『TANGE BY TANGE 1949-1959/丹下健三が見た丹下健三』
監修:岸 和郎、原 研哉 編著者:豊川斎赫
ブック・エディトリアルデザイン:原 研哉+中村晋平
定価:本体15,000円+税 発行日 :2015年1月22日
体裁:310×270mm 上製、252頁、和英併記
発行:TOTO 出版 TEL=03-3402-7138 URL=www.toto.co.jp/publishing/