絵本

あの緊張感にドキドキ『がまんだがまんだうんちっち』

うんちが我慢できなくてピンチに陥ったことはありますか? みんな口には出さないけれど、きっと誰にでもそんな経験があるはずです。今回は、そんなドッキドキの緊張感が作品全体に漂う人気絵本をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

老若男女みんなが共感できる絵本

以前に国会の委員会の答弁中に「トイレ、行かせてください!」と言った大臣がいましたが、大人になるとトイレに関して緊急事態を経験することは少なくなりますね。でも、子どもたちは違います。外出先で、学校で、絶体絶命のピンチ(?)に陥ることもあります。今回は、誰が読んでも、そんなハラハラ・ドキドキを思い出してしまう絵本をご紹介します。おもらしやウンチを揶揄することなく、最後はにっこりできる絵本なので、おはなし会でも大人気です。

トイレの中では読まないで! 『がまんだ がまんだ うんちっち』

『がまんだ がまんだ うんちっち』の表紙画像

上を向いて歯を食いしばる男の子に、一体なにがあったのでしょう?

みおくんは、今お尻がむずむずしています。もちろん兆候はあったのですよ。学校から帰る前にトイレに行くことは行ったのですが、上級生が掃除をしていたのでそのまま下校してしまったのです。後悔先に立たずとはこのことです。あ~もう我慢できそうにありません。切羽詰まったみおくんは、色々トイレを探すのですが、どこへ行ってもトイレを借りることができません。我慢も限界です……。

天を仰ぎちょっぴり辛そうな表情を見せる表紙の男の子には、こんな事情があったのです。みおくんは大丈夫なのか? お話の最初からいきなりのドキドキ感。そしてページをめくるたび、ますます増していくハラハラ感。子どもなら1度は経験したことがある出来事に、読者はみおくんから目が離せなくなってしまいます。

トイレの案内板の画像

「近くて遠い」それがトイレというもの?

さて、紆余曲折を経て、みおくんはどんな結末をむかえるのでしょうか? 実は、みおくんはお母さんからとても褒められます。「え~、どうして? なんでそうなるの?」というみなさん、ごめんなさい。理由は言えません。なぜなら、このお母さんの対応こそが、作品の大切なテーマの1つなので、全てを明かしてしまう訳にはいかないのです。そのかわり、読めば必ず温かな読後感を得られることはお約束できます。

この本は、子どもたちの大好きな(?)うんちを題材にして、子どもたちの経験や気持ちに寄り添いながら、実は絵本を読んであげるお母さんへのメッセージが込められているという作品なので、「うんちの絵本はちょっと苦手」という方にも抵抗なく読んでいただけると思います。共通体験を持つ者同士(?)、親子一緒にお楽しみいただけることでしょう。でも、トイレの中で読んでは面白さ半減ですよ。だって我慢する必要のない人に、みおくんやお母さんの気持ちは理解できないでしょう?


【書籍DATA】
梅田俊作・梅田佳子・梅田海緒:作/絵
価格:1188円
出版社:岩崎書店
推奨年齢:5歳くらいから
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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