行政書士試験/ゼロから始める行政書士試験

行政書士試験における「情報通信・個人情報保護」の攻略(2ページ目)

一般知識の基準点の鍵を握るのが、情報通信・個人情報保護です。過去問を分析して、対策を立てて、効率よく勉強する方法をご紹介します。「ゼロからはじめる行政書士試験」第11回です。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


「個人情報保護法」の過去問分析と対策

【出題内容】
・総論 (平成22年問題56、平成23年問題54)
・定義 (平成24年問題55)
・個人情報取扱事業主の義務 (平成25年問題56)
・雑則 (平成26年問題57)
・処罰規定 (平成24年問題54)

特徴は法律の詳細よりも概要が出題されていることです。個人情報保護法の中核である「個人情報取扱事業主の義務」は出題の中心ではなく、総論、定義、雑則と言った概論的な内容が主に出題されます。
また、過去問の踏襲性が高いことも特徴です。例えば、平成22年と平成23年は同じ総論から連続して出題されています。雑則に関する平成26年出題も平成18年出題を明らかに踏襲しています。

以上を踏まえて、対策を考えると、以下の順番で勉強することが効果的です。
【優先順位】
1、過去問
2、テキスト(総論、定義、雑則)の読み込み
3、1と2の繰り返し
4、テキスト(個人情報取扱事業主の義務)の読み込み 

【注意点】
過去問の踏襲性が高いと言っても全く同じ問題が出題されるわけではありません。文章の表現を変えてみたり、事例問題で出題してくる可能性もあります。そのような過去問の変換に対応できるように、ただ過去問を暗記するのではなく、言葉の意味をしっかりと理解してください。


「IT用語」の過去問分析と対策

IT用語の過去問をみると、時事的な単語が狙われやすいと言えます。例えば、平成24年の「スマホ」などがわかりやすいでしょう。ただ、時事的と言っても、IT技術の最先端の知識は出題されていません。また、時事性という傾向ゆえでしょうか、過去問を踏襲する出題は多くありません。

対策としては、新聞・報道などのITに関する時事的単語に関心を寄せることは大切ですが、効率のよい覚え方ではありませんので、直前期に予備校の模擬試験で出題されたIT用語を覚えるというのがよいと思います。


「行政機関個人情報保護法」の過去問分析と対策

【出題内容】
・個人情報保護法との比較 (平成22年問題54の選択肢2、平成24年問題57の選択肢ア)
・情報公開法との比較 (平成22年問題54の選択肢5、平成23年問題55)

特徴としては、上記のように比較の出題が多いということがあげられます。また、出題範囲は、個人情報保護法と同様、総論、定義、制度の骨格など法律の概要が中心で、細かい知識はあまり出ていません。過去問の踏襲性は高く、平成25年問題55の選択肢5は、平成22年問題54の選択肢3を元に出題されています。

対策としては、過去問の勉強を中心にするべきです。ただ、この分野は個人情報保護法に比べると過去問自体が多くないので、テキストの勉強も重要です。テキストをどう勉強すればいいのか悩む受講生が多いのですが、比較の出題が多いので、個人情報保護法や情報公開法との比較を意識してテキストを勉強してください。まだ出題されていない比較がいくつかあり、狙われやすいと思います。なお、法律の概要が中心ですから、細かい知識は不要です。

以上を踏まえると、以下のような順番で勉強するのが効果的です。
【優先順位】
1、過去問
2、テキスト(個人情報保護法との比較を意識して)の読み込み
3、過去問
4、テキスト(情報公開法との比較を意識して)の読み込み

【注意点】
勉強効率をあげるには、テーマを絞るのが最善です。そこで、2、4のように分けて勉強しましょう。出題可能性を考えて2を優先させました。3に過去問を入れたのは、テキスト中心の勉強となり、過去問から離れないようにするためです。


「情報公開法」の過去問分析と対策

出題数は多くないうえ、「情報公開法」に限定した問題ではなく、情報公開制度全般について問われる出題傾向です。

【出題内容】
・情報公開制度全般 (平成25年問題54)
・行政機関個人情報保護法との比較 (平成23年問題55)

特徴ですが、やはり総論、定義などの法律の概要が中心で、細かな知識はあまり出ていません。
対策としては、出題数が少なく判断が難しいのですが、過去問を最優先に、次に、テキストで総論や定義などの基本的事項を押さえるべきでしょう。単独での出題もありえますが、他の法律との比較で出題される可能性があるので、他の法律との比較の視点を忘れないでください。


「その他の法律」の過去問分析と対策

【出題内容】
・プロバイダ責任制限法 (平成22年問題55)
・特定商取引法 (平成23年問題56選択肢1)
・独立行政法人等個人情報保護法 (平成24年問題57選択肢エ)
・戸籍法 (平成25年問題55選択肢3)
・公文書管理法 (平成25年問題55選択肢4)
・住民基本台帳法 (平成25年問題55選択肢2、平成26年問題56選択肢2)

いくつか出題されていますが、範囲を絞りにくいのが特徴です。
対策としては、「数撃てばあたる」方式の勉強しかありませんが、基本的な知識しか出ていませんので、各法律を深く勉強をする必要はありません。これ以外の注意を要する法律は、電子署名法、公的個人認証法、迷惑メール防止法、電子契約法などです。この科目の過去問踏襲性を考えると、出題実績のある法律が要注意です。


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