世界遺産マラッカの魅力を詰め込んだクラシカルホテル
長屋スタイルのショップハウスが連なる旧市街。門構えは狭くても、奥行きのある造りになっています
かつてはスパイス貿易で活況を呈し、ポルトガル、オランダ、英国の支配下をくぐりぬけながら、プラナカン(中国からやってきた男性とマレー系女性の間に生まれた子孫)の文化を育んできたマレーシアのマラッカ。世界遺産のこの小さな街の魅力をぎゅっと凝縮したホテルがザ・マジェスティック・マラッカです。時が止まったような街を歩き、歴史を投影したホテルで憩う。マラッカを十二分に味わいたいなら、ぜひ!
1920年代に建造された館を核に、新旧2棟の建物で構成
旧館にあるラウンジ&ライブラリー。アンティーク調の磁器タイルもきゅんきゅんポイント
ザ・マジェスティック・マラッカの原型は、レオン・ロン・マンという中国の大君の家族ために建てられたもの。建設は1927年初頭から始まり、2年の年月をかけて1929年後半に完成しました。
1955年まで代々受け継がれ、リム・ヘン・ファンの手に渡ったのち、”ザ・マジェスティック”という名のホテルに。このホテルは現在のブンガ・ラヤ通りの名物スポットとなり、世界を股にかける旅行者や商人、高位高官を魅了し、在住の英国人たちの憩いの場所となったそうです。
通りに面した、1920年建造の旧館。背後に8階建ての新館が
そんな隆盛の時期もやがてゆっくりと斜陽が差し、2000年には休眠状態に。そんなホテルを引き受けたのが、YTLホテルズ。2006年に獲得すると、ただちに修復工事に着手。もともとある建物は丁寧に修繕され、新たに8階建ての新館を加えて、YTL初のクラシックホテルとして2008年にデビューを果たしました。
新館には1階にスパ、2~8階に54室のゲストルーム。旧館にレセプション、レストラン、バー、ラウンジ&ライブラリー、フィットネスが入っています。どちらの棟もノスタルジックな風情をたたえ、新館はモダンな居住性も追求した造りになっています。
世界遺産の旧市街の中にあるベストポジション
プラナカンのスタッフが街をガイド。生活習慣など、歩きながら聞くお話に興味津津
ブンガ・ラヤ通りを挟んでマラッカ川に面して立ち、ホテルを一歩出れば、中国系のショップハウスが並ぶストリートへ。マラッカ川のちょうど対岸には、プラナカンの暮らしぶりを伝える、私有の博物館ヴィラ・セントーサもあります。そして、ジョンカー・ストリートやオランダ広場などのハイライトが徒歩圏内!
ガイドツアーで訪れる、プラナカン料理の調理器具店。プラナカン料理は手間と時間をたっぷりかけて、作られます
ザ・マジェスティック・マラッカでMAPをもらって自分で気ままに回ることもできますが、おすすめしたいのが、プラナカンのホテルスタッフがガイドするヒストリカル・ウォーク。マラッカ川沿いを歩きながら街の歴史を聞き、茶問屋やカゴの店、金箔職人の工房などを回って、地元の昔ながらの暮らしを垣間見ます。プラナカンの文化、食、習慣など、興味深い話ばかり。アンティークショップなど、お買い物スポットもリクエストすれば連れて行ってくれますよ。
鷲のかぎ爪足付きバスタブや四柱ベッドがロマンティックな客室
35平方メートルのデラックス。ティークウッドの床がクラシカルな雰囲気に一役買っています
オープンプランのレトロ調ゲストルームは54室。コンセプトはラグジュアリーと伝統、モダンとエレガントを融合したデザイン。シルクのドレープが垂らされた天井から床までの大きな窓からは、光がたっぷりと差し込み、カスタムメイドの家具は古き良きマラッカを彷彿させるもの。
鷲のかぎ爪足付きのバスタブ。スライドを開ければ、バスルームと一続きに
鷲のかぎ爪足がついたバスタブを置く浴室とベッドルームはスライド式のドアで仕切られ、開け放つこともできます。
デラックスルームは広さ35平方メートル、2室のみのスイートは70平方メートルになります。
プラナカン料理をいただけるレストラン
メインダイニングの「ザ・マンション」。スタッフが何もいわずとも前日と同じテーブルに案内してくれたのには、びっくり。前日にオーダーしたメニューも覚えていて、またびっくり
旧館の2階にある「ザ・マンション」がメイン・ダイニング。ビュッフェ+ホットディッシュの朝食、アラカルトのディナーがサーブされます。ディナーにはプラナカン料理も!
ラウンジでいただくアフタヌーンティー。プラナカンの伝統的なお菓子も並びます
また、「ザ・ラウンジ」ではランチとアフタヌーンティーがいただけます。アフタヌーンティーは3段のティートレイにスコーンやサンドイッチが盛り合わせになっているのですが、プラナカンのカラフルなお菓子もセットに。セピア色の夕日が差し込むラウンジで、ゆっくりと午後のお菓子をいただくと、優雅なプラナカンの暮らしをなぞらえている気分になることでしょう。
プラナカン文化をスパでも体験!
大きな窓から光が差し込むスパのリラクゼーションスペース
新館にある「スパ・ヴィレッジ・マラッカ」では、プラナカンの文化を取り入れたユニークなトリートメントが体験できます。そして、すべてのトリートメントの前に、プラナカンの花嫁が挙式の12日前からおこなう儀式の一部が体験できるのです。
まずレモングラスの水を髪にふりかけ、そしてクラシカルなシャンプー台へ。横になると天井に設置された白黒テレビの映像が目に飛び込む仕掛けに。往時の映像を眺めながら、シャンプー&マッサージを受けるのです。そして仕上げに木の櫛で髪をとき、ジャスミンの花飾りをつけてもらいます。
プラナカン文化を取り入れたトリートメントも
プレ・トリートメントを終えたら、本番のトリートメント。やはりプラナカンならではのメニューを受けたいところです。おすすめはナツメグ・ライス・ローリング・マッサージ。ロングストロークのマッサージの後、セラピストが米とナツメグを入れて温めた布袋を使って、背中や手足に刺激を与えるもの。シャカシャカと小気味いい音も気持ちいいです(100分/400リンギット)。
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The Majestic Malacca
住所:188 Jl. Bunga Raya 75100 Melaka, Malaysia
TEL :+60-6-289-8000
宿泊料金:300米ドル~