コーヒーの挑戦が始まっていた
「カフェ・カンパニー創業から10年の節目の2011年、僕たちはクオリティーに正直になることを新たなチャレンジとしました」と創業時代からWIRED CAFEで活躍してきた和田剛さん。「生あるものを産んでくれる『生産者』さんに対して、消して費やすようなことをしてはいけない。生あるものを活かす『生活者』として、その素晴らしさを街の人と分かち合う。その提案と出会いの場こそ、カフェの役割であると考えます」
カフェの主役は一杯のコーヒー。そのコーヒーを生活者として活かすにはどうすればいいのか? 2011年当時、和田さん自身はコーヒー好きではあったものの決してスペシャリストではなく、社内にも専門家は見当たらない状況でした。
「そんな状況に多大なるサポートをしてくださったのがコーヒーハンターの川島良彰さんです」
東日本大震災をきっかけとして
2011年、東日本大震災のチャリティーのために、WBCでコーヒー生産国初のバリスタ世界チャンピオンとなったアレハンドロさんが来日。そのナビゲートをしたのが川島さん、イベントを企画運営したのがカフェ・カンパニー代表の楠本修二郎さんと和田さんでした。そして2011年末、川島さんと楠本さんがチャリティーの報告とお礼のために中米エル・サルバドルを訪問することが決まると、和田さんは楠本さんにこう提案します。
「僕も一緒に連れて行って欲しい。そして、 生産国で一からコーヒーを勉強するから、置き去りにして欲しいと。僕の想いに川島さんも惜しみないサポートを引き受けて下さいました。3人でエル・サルバドルへ入国、そしてたったひとりでコーヒー生産国に残り、僕のチャレンジが始まりました。こうして始めたのがコーヒープロジェクトです」
生産国で勉強を重ねた和田さんが痛感したのは、まず最初にカフェ・カンパニーの仲間たちの意識から変革しなければならないということ。帰国後に全社員向けにコーヒー勉強会を開催し、全店舗のコーヒーを変えていくことを宣言。プロジェクト名を「The harvest journey」と名づけました。それが2012年の春のこと。
「コーヒー豆を入れ替え、CAFE SALVADORというプロジェクトの旗艦ブランドを丸の内に展開し、さまざまな模索を試みたのが最初の2年間。その間に多数のコーヒーパーソンと出会ってネットワーキングを広げる一方で、僕ららしいコーヒーの打ち出し方がちょっとずつ定まりました」
2015年はコーヒープロジェクトがスタートして3年目。これからどう展開されていくのでしょう。次ページでどうぞ。