変化をキーワードに企業選択
「ザ・2020ビジョン」は、独立系運用会社であるコモンズ投信がフラグシップファンドである「コモンズ30」に続くファンドとして、2013年12月27日に設定された商品です。運用のコンセプトに「変化」を掲げ、変化をキーワードにして企業を分析し、ダイナミックに運用する投資信託です。簡単にその特徴に触れておくと、変化し始めた企業、変化にチャレンジする企業を中心に株価が割安と判断した企業に投資されます。大型株から小型株まで投資対象とし、50銘柄程度に分散投資が行われます。株式への投資は、信託財産の50%超(100~30%の範囲内を)が基本ですが、機動的に株式等、現金等の比率を組み替え、リスク回避のコントロールをしながら運用が行われています。
ベンチマークをおいていませんが、2014年の年間騰落率は、TOPIX(東証株価指数)が8.08%、日経平均株価が7.12%だったのに対して、ザ・2020ビジョンは17.37%でした。フラグシップファンドである「コモンズ30」の16.29%も上回っています。
株価指数よりも下落率は低い
図は、2014年の月末の株式等と現金等の配分比率の推移です。株式市場に強気であるときには株式への資産配分を高くする反面、株式市場に弱気の見方をしているときには、大胆に現金等の比率を高めていることがわかります。この機動的な資産配分の変更により、基準価額の下落もTOPIXなどより低くなっているのです。ポートフォリオ構成比をチェック
1例をあげれば、株式市場が急落した昨年9月25日から10月17日、TOPIXは12.56%の下落、日経平均株価は11.24%の下落でしたが、ザ・2020ビジョンの基準価額は、9.06%の下落率に留まったのでした。ちなみに、投資コストの低いインデックスファンドは、常にフルインベストメント(ほぼ100%株式へ投資を行っている状態)ですから、株価指数とほぼ同等の下落率になったはずです。
言い換えれば、投資初心者などは保有していて少し肝を冷やしてしまったかもしれません。しかし、ザ・2020ビジョンであれば、肝を冷やす割合を少し抑えることができた反面、運用成績は株価指数を上回っているのです。1年の運用成績だけで判断を下すことはできませんが、これこそアクティブ運用の醍醐味を実感できる可能性の高い投資信託の1つと言える気がしてなりません。
同ファンドは、積立投資を積極的に推進していることから、積立投資で時間分散を活用すれば、リスクをさらに抑えることができると考えられます。わかりやすさ、投資コストの低さだけで投資信託を選ぶのではなく、プラスして安心して保有できる、良好な運用成績など、真に投資信託が保持しているポテンシャルを理解したうえで投資信託は選びたいものです。
運用が経過して1年、2015年も機動的、また大胆な運用スタイルで投資家の期待に応えていくことを明言していた、ファンドマネージャーの糸島氏。今後も良好な運用成績を期待すべくウォッチしていく予定です。