松本蘭(Vl)、水野由紀(Vc)、村松亜紀(P) メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番、ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲「大公」
「クラシック音楽界のみならず様々なシーンで活躍するヴァイオリニスト松本蘭と松本が強い信頼を寄せるピアニスト村松亜紀。そして期待の新星チェリスト水野由紀。この三者が真っ向から挑んだピアノ三重奏曲の中でも名曲中の名曲を収めたアルバムです。
松本が生き生きとリードし、水野が熱く朗々と旋律を歌い、高い技術を要求されるピアノを村松が確かなテクニックで奏で上げ、三者の絶妙な掛け合いが迫真の演奏をお聴かせします。」(オクタヴィア・レコード)
■ガイド大塚の感想
ジャケットからライトな演奏を想像すると痛い目に遭う、濃厚なドライブ感のある力演。旋律の受け渡しも良い感じ。
3人の息が合って大きな花を咲かせるような見事なアンサンブルだ。
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千住真理子(ヴァイオリン) イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲
2015年のデビュー40周年を記念し、3タイトルのアルバムをリリースする千住真理子。第1弾となったベスト盤に続く、第2弾アルバムが今作のイザイ作品。平坦とは言えない40年という音楽人生。そして、挫折と絶望に苦しんだ時期に唯一光を与えたのが「イザイ」だった。
「イザイ」を演奏することで自分を取り戻し、ライフワークとして「イザイ」を演奏し続けていくという千住真理子の心の叫び、奇跡の音が、ここにある。(ユニバーサル ミュージック)
■ガイド大塚の感想
難曲に挑戦、といったレベルのものでは全くなく、また単に、名演、と片付けられるものでもない。自身の曲かのように曲と一体化し、確かな芯の強い音で一音一音を弾き込んでいく。特に混沌とした重音からメロディーが抜け出る様には心動かされる。また、一方、優しい調べは慰めに似て深く優しい。
天才少女と言われ、一度はヴァイオリンを置いた彼女の心労はどれほどだったろう? それを乗り越えたこうした演奏も、ともすれば批判の対象になり得るかもしれないが、今やそんなことをも跳ね返すだろう到達した音世界がここにある。
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アンデルシェフスキ(ピアノ) J.S.バッハ:イギリス組曲第3、1、5番
数いるピアニストの中でも際立って独自路線を行くポーランドのピアニスト、アンデルシェフスキ。バッハの作品は彼が特に得意とするもの。巧みに繰り出す響きの制御。繊細なタッチ、そこから発せられる多彩な感情は、バロックの生命感あふれるバッハの多様な感情が、ふんだんに散りばめられている。
今回のアルバムに関しては、リリースの予定が告知されるも何回も取り直しているほど、この録音には意気が入ったものになっている。(ワーナー・クラシックス)
■ガイド大塚の感想
第3番冒頭の下降する和音をずらし弾むように踊るように降りてくる瞬間から「もうこれはとんでもない演奏だ……」と完全に心を奪われる。スタンダードな演奏とは言えないのに、なぜこんなにも説得力があり美しいのか。神々しいが堅苦しいわけでもない。
バッハの時代にはまだ存在しなかった“現代のピアノ”での、理知的で未来的な、作曲家の想像を超えるであろうバッハ演奏の一つの到達点。
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中桐望(ピアノ) ショパン:24の前奏曲、他
「2012年浜松国際ピアノコンクール日本人過去最高位2位入賞など、多くの国際コンクールの入賞暦がある中桐望。待望のデビュー盤がついにリリース!収録曲はこれまで大事に温め続けたレパートリーの中から、ショパンとラフマニノフの2つの曲集を選択。一音一音に想いを乗せ、一曲一曲を輝かせてゆきます。
卓越した技術から紡がれる瑞々しい音楽性。中桐望の現在が凝縮され、さらなる大輪へ期待膨らむアルバムとなりました。(オクタヴィア・レコード)
■ガイド大塚の感想
「とても大きな音楽」初めて生で聴いた際に驚き感じたことだ。このアルバムでも曲に共感しているのが分かり、とても丁寧に演奏され、息が長くて味わい深い。弱音はとても抑えられ、はっとする美しさがあり、またそれゆえ音量の幅が広く、小柄な彼女からは想像もつかない大きな音楽が生まれていく。
現在ポーランドに住み今年はショパン国際コンクールにも参加するということで、今後も楽しみだ。
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タイソン(ピアノ) ショパン:24の前奏曲、他
名曲こそ、何度も新しい名演で塗り替えられるべき......でもショパンの難曲は意外に新しい名盤が出てこないもの。アンドリュー・タイソンはブリュッセルのエリザベート国際コンクールなど、近年の世界的なコンクールで審査員たちを瞠目させている異才!
「ショパンの前奏曲はある意味で未完成、聴き手の頭のなかで完成するのです」などと語るコメントにも興味津々。書かれたそばから音になってゆくような新鮮な音作り、惚れ惚れしますよ。(マーキュリー)
■ガイド大塚の感想
全く聴いたことのない前奏曲集! 即興的に語られる詩の朗読を聴くよう。
この曲集を作っていた時にそばにいた恋人ジョルジュ・サンドが聴き、愛したのは、正にこうした、力まず、ひらめきが飛翔するような演奏だったのかもしれない。