2合サイズに分離構造と、異例づくしの炊飯器!
高級小釜が注目を集める中、今までにない“2合炊き”という超少容量タイプの炊飯器「おひつ御膳」は、炊きあがったら食卓に運ぶという新しいスタイルを提案しています。最上位と同じ「重厚打込鉄釜」を採用し、真空構造や調圧構造でしっかり高温で蒸らしておいしく炊き上げます。そんな新スタイルの炊飯器を試してみました。
2合サイズという新提案
従来の少容量は3~3.5合が定番サイズでしたが、この「おひつ御膳」は、食べきりサイズの2合炊き。いつも炊きたてを味わうという新しい提案です。しかし、5.5合炊きでも少容量は炊けるのに、なぜわざわざ少ない合数の炊飯器を作るのか?それは、大は小を兼ねないのが炊飯器だから。実は、5.5合サイズの炊飯器の場合、浸しや沸騰までの火力のプログラミングは3合を基準に設計されているのが一般的。そのため、どうしても1合を炊飯しようと思うと“浸し”や“加熱”の工程で理想的な状態にすることができません。さらに5.5合の釜に対し1合の分量だと、お米が釜の底の方だけになるため、釜内に空間が大きくなります。結果、水分の蒸発や温度の調整が難しく、最良の状態で炊き上げることができないとのこと。
確かに、5.5合の炊飯器で1合だけ炊くと、なんとなく固かったり水っぽかったりした経験があります。最新の炊飯器は少容量でもおいしく炊ける機能が向上してきましたが、常に1~2合での炊飯しかしないのであれば、少容量の炊飯器が適しているというのは、理にかなっているのです!
本体を外して食卓に持ち運べる「おひつ」スタイル
もうひとつの特徴が、炊飯に必要となる加熱をする熱源(IHコイル)や基盤制御がある【熱源部】と、内釜がある本体部分【おひつ部】が分離できること。この新構造により、ご飯を炊いた本体部分だけを取り外して食卓に持っていくという、新しいスタイルを提案しています。昔は炊いたご飯を“おひつ”に移して食卓に持ってきたものですが、保温機能がある炊飯器に入れておいた方がいつまでも炊きたてを味わえることもあり、“おひつ”は食卓からが消えていたと言っても過言ではないでしょう。そんな“おひつ”文化が、この炊飯器で再現するのです。
しかし、炊飯器の熱源部と本体を分離するには、従来の炊飯器と同じ構造では実現できません。しかも、従来の炊飯器は、底面だけでなく釜の側面や蓋裏にもヒーターを入れて全方位から加熱し、釜全体を高火力で包み込むことでおいしいご飯を目指しているのに対し、この分離構造だと熱源は下からのみ。いくら釜が小さいとはいえ、下からしか加熱できないのは不利でしょう。
それを補うため、釜の周囲は真空断熱材やガラス繊維断熱材を配し、さらに釜の上方とフタ部分には空気断熱層を設けた「全周囲断熱構造」を採用し、熱を閉じ込めて高温を維持しているとのこと。さらに内釜は、日立の最上位モデルと同じ「重厚打込鉄釜」を採用。発熱性の高い金属鉄と蓄熱性の高い酸化鉄を含んだ鉄を溶射して肉厚にした、最厚部3.6mmの鉄釜でしっかり炊き上げます。これらの技術により、新しい分離スタイルが実現したのです。
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