歯科インプラント/歯科インプラントでのトラブル・失敗事例

インプラントを埋めたのに、咬みあう相手がない…

歯科インプラントはただ埋入すればいいというものでは有りません。周りの歯との位置関係、咬合、メインテナンスのし易さ、すべてをクリアしてこそ本当に意味のある歯科インプラントなのではないでしょうか?

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

ベストなインプラント埋入位置

失った天然歯の代わりに歯科インプラントを選択する方が増加し、既にインプラントが埋入された状態で来院される患者さんも多く見受けられるようになりました。
多くの患者さんは問題を抱えて来院されます。一つの例が、こちらです。

「せっかく欠損歯数分の2本のインプラントが埋入されているのに、上1番奥の咬みあうはずの歯が無い」

咬み合わせと治療計画

バランスの良い咬み合わせを考慮した治療計画が重要

今やインターネットで多くの情報が入手できる時代。インプラント治療についていろいろ勉強されての来院でした。インプラントを支える為には埋入周囲の歯槽骨が最低全周1.5ミリ(できれば2.0ミリ)必要なこと。インプラントとインプラントの間にはその倍の歯槽骨量が必要不可欠であること。とても勉強熱心な患者さんはそれを確認した上で、疑問点をぶつけてこられました。2本入れたのに1番奥が咬みあってないのでおかしいと。

写真をご覧いただければお分かりになられると思いますが、一番奥の大臼歯と咬み合わせる位置にインプラントが埋入されていないのです。

正しい決断とスムーズな処置

患者さんとはご家族も交えてしっかりと話し合いをし、今回は今のインプラントを撤去し新しく埋入し直すことにしました。撤去の際も単純に取り除けばいいというわけでは有りません。周囲の歯槽骨にダメージを与えないように慎重に撤去し、次の埋入に向けて骨がある程度回復し歯肉が落ち着くまで1か月半ほど待ちます。

そして半年後ようやく下顎6、7番に2本のインプラントを埋入し直しました。
手前のインプラントは深めに埋入して同時に骨補填を行いました。奥は浅めに埋入するシンプルな手術ですべての処置を約20分で終えることが出来ました。

スムーズな手術の頼もしいサポーター

今回の手術にはサージガイドという手術サポート器具を使用しました。サージガイドとはインプラント手術の際に埋入位置を確認する為のマウスピースのようなものです。あらかじめ埋入位置に穴が開いており、インプラントの埋入位置を導いてくれる為、手術時間の短縮にもつながります。

上部構造をどう相手の歯と咬み合わせさせるのかを手術の前にシミュレーションして、その為にはどの位置にどのサイズのインプラントを埋入するかをあらかじめ決めておく。そうすることでポジションミスもなくスムーズで安全な手術ができるのです。

少しでも気になることは早めに解決を

今回はインプラントの咬み合わせの問題でしたが、少しでも口腔内でのお悩みを抱えていらっしゃる方は、早めに主治医への相談をされてください。どんな小さな問題でも解決することで快適な生活を手に入れる、それこそ総合歯科診療が目指すゴールです。

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