オペラ鑑賞の際のマナーは?
<目次>
初めてのオペラ鑑賞、マナーは?
オペラを初めて聴く人にとっては、CDから好きなアリアを取り出して聴くのが一番簡単ですが、本当にオペラを楽しむためには実際に劇場で鑑賞することをお勧めします。もしあなたがオペラ初心者で、今まで観劇したことがないのであれば、悩まずに劇場に足を運ぶことです。例えば、プッチーニの「トゥーランドット」を家で聴くのと、劇場で聴くのには大きな違いがあります。家でアリアの部分だけを取り出して視聴することもできますが、このアリアはドラマの横糸となっているので、作品全体を聴かないと深く理解できません。テノールの声は劇場よりもCDの方がきれいに聞こえるかもしれませんが、劇場の雰囲気こそが最高のスパイスとなって作品の完成度を高めるものです。
初めてのオペラ鑑賞で気になるのはマナーやエチケットでしょう。興味はあっても、敷居の高いイメージに尻込みしてしまい、オペラの舞台を見に行ったことのない人は多いのではないでしょうか。でも、怖がることはありません。マナーや常識は、時代とともに移り変わるもの。オペラという芸術が誕生した当時から現在まで、オペラ鑑賞のマナーは大きく変化を遂げてきました。
オペラ鑑賞、エチケットの今昔
モーツァルトの時代には、観客は舞台を見ながら食事をし、好きな時に席を立ち、歩き回り、声を出して笑ったり、話したりしていました。この飲み屋のような振る舞いが禁じられたのは、リチャード・ワグナーの時代からです。今日、オペラ鑑賞の際には、観客は完全な沈黙を守らなければなりません。これはオペラだけではなく、どんなショーにも共通でしょう。服装は、タキシードやネクタイを着用する必要は特にありませんが、たとえ自分が気に入らなくても、歌手、オーケストラ、コーラス、スタッフが多大な努力を払って完成させた作品に敬意を示すことが大事です。開園時間前に着席する、大声で話さない、非常時以外は立ち上がらない等の常識を守れば、特別な心構えは必要ありません。
スタンディングオベーションをするか、拍手のタイミング、「ブラボー」と叫ぶかどうかなど、初めてのときは細かいことがいろいろ気になるでしょうが、自分の感情に身を任せましょう。感動したら、体で表現すればいいのです。オペラの本場ヨーロッパでは、観客は舞台を飛び越えて劇場全体を包み込むオペラの雰囲気に完全に身を任せます。この雰囲気に逆らわなければ、特別な振る舞いをしなくても、あなたはオペラの魔法にかかり、所作の一つひとつが気品に満ちたものになるはず。
それでもやはり不安だという人のために、次ページでいくつか気を付けるべきポイントを挙げておきます。
初めてのオペラ鑑賞、服装マナーは?
正装ではなく、お気に入りの気持ちのいい素材の洋服で出かけましょう。オペラ鑑賞は座ってするものなので、体を締め付けない服と靴が適切でしょう。劇場は空調が効いていることも考慮に入れて、暑すぎず寒すぎない格好で行きましょう。オペラ鑑賞当日、夕食はどうする?
夕飯はオペラ鑑賞の後にとっておきましょう。お腹がいっぱいでは、どんなに素晴らしい舞台でも眠気に襲われてしまいます。ただ、空腹すぎても舞台に集中できませんし、おなかの虫が鳴いてしまっては恥ずかしいですね。劇場に向かう前に軽食をとっておくか、休憩時間に何か口にしましょう。休憩時間は意外と短いもの・・・
携帯電話は非常時のみに
携帯電話は必ず電源を切りましょう。カレーラスの舞台で、突然携帯電話が鳴りだした時、カレーラスは平然とアリアを歌い続けました。2分後、彼は携帯電話を鳴らした観客に聞きました、「それで、生まれた赤ん坊の性別は?」オペラではいつ拍手する?
拍手のタイミングや強さに自信がない場合には、作品が終了し、舞台上で歌手が一人ひとり挨拶するときに、お気に入りの歌手に拍手で感謝を表しましょう。オーケストラの指揮者にも忘れずに拍手をしましょう、彼は舞台の最高責任者だからです。オペラの撮影は禁止
携帯電話やデジカメで写真を撮ることは控えましょう。歌手やオーケストラだけではなく、他の観客にも嫌な思いをさせてしまいます。もちろん、ガムを噛んだり、飴を口の中で転がすことはやめましょう。飴をなめるときには、外からはわからないように。初めてのオペラ鑑賞、作品の選び方
有名な作品の中には、舞台鑑賞の初心者だと消化不良を起こしがちなものもあるので、慎重に選ぶ必要があります。お勧めなのが、ヴェルディの「アイーダ」や「リゴレット」、 プッチーニの「トゥーランドット」、モーツァルトの「魔笛」や、ロッシーニの「セビリアの理髪師」のような、音楽や舞台装置が華やかな作品です。食通のパリジャンように、美味しい作品を少しだけ口にしましょう。オペラに情熱を感じるようになるまで、少しずつ噛みしめていくことが大事です。オペラ鑑賞のコツはこの「少しずつ」です。オペラの秘密がだんだん分かってきて、もっと口にしたいと思う頃には、もうあなたはオペラの虜になっていることでしょう。 【関連記事】