オペラの世界という深い森を、道に迷わずに進むにはどうしたらいいのでしょう。オペラを聴くことは、読書をすることと同じで、「簡単な」ストーリーで、直接的に訴えてくるような音楽を備えた作品から始めると良いでしょう。時とともに、更に深い作品に触れることができるようになります。聴覚は、他の感覚と同様に少しづつ育てていくものです。これから、文学、音楽、劇を兼ね合わせた総合芸術オペラの、欠かせない10作品(もちろんこれら以外にも素晴らしい作品はいっぱいあります)をご紹介します。各作品について、指揮者、オーケストラ、歌手のコンビネーションが絶妙な、ガイドお勧めのCDもご紹介しています。

モンテベルディ、オルフェオ

歴史上最初のオペラと言われることもありますが、それは間違いです。しかし、歴史上、最もいい形で生き延びてきた作品と言えるでしょう。この世界に恋人を取り戻すために黄泉の国(ギリシャ神話にある死人の王国)へ旅する主人公オルフェオの物語です。モンテベルディは、劇と音楽に造詣が深く、二つの芸術のコンビネーションから新しい芸術を生み出しました。この素晴らしい作品の影響がなければ、後世の作品は生まれなかったことでしょう。


ペルゴレージ 、奥様女中

バロックオペラの小さな宝石と言える作品で、モーツァルトなど後の作曲家に影響を及ぼしました。喜劇オペラに分類され、 セルピナ (利口な召使)と独身の主人が主人公となり、楽しく優雅な物語の展開の後、結婚にいたる喜劇です。


ロッシーニ、セビリアの理髪師

この作品は、今ではオペラ界のマエストロ作品として有名ですが、開幕当初はブーイングを受けました。ロッシーニ本人も、観客のあまりにひどい反応に、生命の危険を感じ、走って逃げたと書き残しています。200年近くが経った今は、観客に最も愛される作品の一つとなっています。ロッシーニは、この作品で数々の魅力的な人物を生み出し、18世紀の想像上のセビリアを舞台に、唯一無二の歌と笑いの舞台を彩りました。


ドニゼッティ、愛の妙薬

「人知れぬ涙」というアリアのおかげで、歴史上もっとも有名な作品となっています。 純粋無垢な田舎者ネモリーノと冷血なアディーナの恋物語で、劇中、鼻持ちならない軍曹ベルコーレや、体の病気だけではなく恋の病も治してしまう飲み薬を売るおしゃべりな詐欺師ドゥルカマーラ博士などが登場します。


モーツァルト、フィガロの結婚

この作品も、足し算も引き算も必要もない、完璧な調和を保っています。この作品の最後の幕がオペラ史上最も完璧であると言う人もいるくらいです。この物語は、情熱と感動、笑いとドラマの迷路となっており、人間の最も劣悪な感情から、最も崇高なものまでが、驚くほど現代的な手法で映し出されています。浮気、秘密、深い愛の全ての描き方が賞賛に値します。