外国債券型もインドが隆盛
国際分散投資においては、資産全体の安定性を保つために国内外の債券で運用される投資信託を組み入れます。国内債券型投資信託は、個別ファンドごとの差が出にくいことから詳細は控えさせていただきますが、簡単に触れておくことにします。2014年は年末に向かって金利が低下(=債券価格の上昇)したことから、騰落率の上位ファンドは4.0%超。NOMURA-BPI総合に連動した投資成果を目指すインデックスファンドでも、3.0%台後半の騰落率でした。国内債券ファンドには良好な運用環境だったと言えますが、2015年は長期金利が年明け早々0.20%台まで低下していることから、2014年のような好成績を期待するのは少し難しいかもいれません。
外国債券型投資信託の騰落率上位は、外国株式型と同じく新興国の債券が好調でした。インド、トルコなどの個別国、新興国全体のものと多様な投資先となっています。そんな中、騰落率27.70%でトップとなったのは、野村アセットマネジメントが運用する「米国優先出資証券オープン」です。
同投信は、わが国では「ハイブリッド証券」と呼ばれる有価証券で、株式と社債の特色を併せ持っています。さまざまなタイプのハイブリッド証券がありますが、総じて特約条項などが付保されている分、一般的な社債よりも利回りが高くなっている点に特徴があります。
第2位の野村アセットマネジメントが運用する「野村インド債券ファンド(毎月分配型)」は、インドの金利が低下傾向にあったこと、円安/インドルピー高が好成績に寄与したと考えられます。米ドル建て債券も組み入れていますが、米国も金利低下、ドル高となったことが好成績の要因と思われます。
バランス型は海外資産が好成績の鍵
バランス型の投資信託は、海外の株式の組み入れを高めにしているタイプの運用成績が好調だったようです。騰落率26.0%で第1位は、国際投信投資顧問が運用する「グローバル財産3分法ファンド(毎月決算型)」です。同投信は、グローバル株式、ワールド・リート、新興国債券の各資産に純資産総額の3分の1程度の分散投資が行われます。いずれも昨年、良好な運用成績を確保した資産クラスの組合せなので第1位も納得できます。
第2位は明治安田アセットマネジメントが運用する「米国ツイン・スターズ・ファンド予想分配金提示型)Bコース」は、米国を中心とする株式、米ドル建ての公社債へ投資するタイプなので、国内外の資産クラスへの分散投資タイプより、米国(米ドル)集中タイプと形容したいバランス型投信。
分配金は、計算期末の前営業日の基準価額に応じて、交付目論見書に記載の分配金の支払いを目指していますが、基準価額が10300円未満だと分配金額は0円となります。決算は3月、6月、9月、12月の年4回となっています。
第3位の大和証券投資信託委託が運用する「りそな・世界資産分散ファンド」も、海外の資産クラスだけで運用されています。好成績のバランス型ファンドは、日本の資産クラスを入れていないものが上位を占めています。残念ながら、騰落率の上位のバランス型投資信託は、教科書通りの国際分散投資タイプではありませんでした。
国内REIT型は通貨選択型が独占
簡単にREIT(不動産投資信託)型投資信託にも触れておきます。東証REIT指数は、2014年も二桁以上年間上昇率だったことから、J-REITを投資対象とする投資信託は、国内株式型よりも堅調だった1年と言えるでしょう。ただ、騰落率の上位を占めたのは通貨選択型のタイプ。東京海上アセットマネジメントが運用する「東京海上J-REIT投信(通貨選択型)インドネシアルピア(毎月分配型)」が騰落率56.53%で第1位でした。
同投信は、異なる通貨、決算タイプの違いで騰落率ベスト10の内、6本を占めています。みずほ投信投資顧問の通貨選択型も3本がランクインしていることから、J-REIT型は通貨選択タイプが上位を独占した結果となりました。
海外REIT型は米国REITに投資するタイプが騰落率上位を占めています。騰落率ランキングを見ると、昨年多額の投資資金が米国REITファンドに流入したこともうなずけます。ただし、騰落率のトップはやはり通貨選択型でした。
騰落率第1位は、楽天投信投資顧問が運用する「楽天USリート・トリプルエンジン(トルコリラ)毎月分配型」でした。国内REIT型と異なるのは、通貨選択型は1本だけで残りはすべて米国REITを投資対象として為替ヘッジを行っていないタイプでした。
通貨選択型は、複数のリスクがある反面、リターンの源泉も複数あることから、投資環境がよい局面では、高い運用成績となるファンドと言えます。しかしながら、投資環境が悪化すると運用成績が大幅に悪化することがありえることをお忘れなく。