阪神・淡路大震災の発生から20年が経過しようとしています。日本で戦後に発生した地震による建物被害としては最大規模の災害であり、住宅の世界においては地震対策を見直す契機となった出来事でした。そこでこの記事では、この20年間で生まれた住まいの地震対策について、改めておさらいしてみます。

建物の倒壊が被害の拡大につながった

まず、阪神・淡路大震災について振り返っておきます。1995年(平成7年)1月17日の午前5時46分に発生。その被害は以下のようになっています。
  • 亡くなった方:6434人
  • 負傷した方:4万人以上
  • 全壊(倒壊)した住宅:10万4906棟
  • 半壊した住宅:14万4274棟
  • 避難人数(ピーク時): 31万6678人

阪神淡路大震災における死亡要因

阪神・淡路大震災による死亡要因をまとめたもの。いかに建物の強度が大切かがわかる(クリックすると拡大します)

早朝に発生したため、多くの方々が自宅で就寝中だったことが結果的に被害を大きくしたといわれています。その後にまとめられた統計によると、亡くなった要因は、「建物の倒壊」が約8割、さらにその後に発生した「火災」による死亡を合わせると9割以上にのぼりました。

要するに、就寝中に地震に遭い倒壊した住宅の下敷きになって亡くなった、あるいはその状態で火災に巻き込まれて亡くなった方が大半だったというわけです。私たちはこのことを真摯に受け止めないといけないでしょう。

このため、阪神・淡路大震災以降、住まいの地震対策として、大きく以下の4点が重要とされるようになりました。

(1) 地震の揺れで倒壊しない、損壊しない
(2) 火災の発生を防ぎ、類焼被害にあわない
(3) 家具などの飛散を防ぐ
(4) 生活再建をしやすくする


そこで1番から順に、震災以降、住宅に取り入れられた地震対策をみていきます。

まず、(1)について。構造に関しては、「耐震性の強化」、「免震」と「制震」技術の導入が行われました。

耐震というのは「地震の揺れに耐える」こと。建物の強度を高めることで実現します。木造軸組住宅は梁と柱、筋交いなどで構造を支える構造ですが、これらに集成材と接合金物を用いる工夫が行われるようになりました。

集成材とは、木板を何枚か重ねることで強度を高めたもの。接合金物とはクギのことではなく、緊密に結びつけるために考え出された素材です。現在建てられている住宅にはほぼ例外なく用いられています。

耐震、免震、制震のそれぞれのメリット&デメリットとは

また壁につかう素材に耐震強度を持たせる工法、つまり柱と梁+構造用外壁によるツーバイフォーに似たハイブリッドなタイプの工法も開発されています。いずれにせよ、耐震の場合は、地震の力をもろに受けます。

耐震技術

耐震強度を上げるため、現在の一般的な住宅では集成材と接合金具が使われるようになっている(クリックすると拡大します)

ですので、幾度か地震の大きな揺れを受けると、倒壊する可能性もないではありません。これが耐震のデメリットといえますが、定期的に点検し、必要ならば補修をすることでカバーすることができます。

そのデメリットを解消するべく開発されたのが「免震」という手法です。これは、「地震の力を伝えにくくする」というスタイルです。一般的には、基礎と建物の間に免震装置を設置し、免震装置がクッションの役割を果たすことで、建物に伝わる地震の揺れを大きく軽減できるというわけです。

免震装置のシステムとしては建物と基礎の間に鋼球を挟み込むものや、油圧などのダンパー系、中には地震の力が伝わると瞬時に空気が送り込まれ、建物が浮いたような状態になるような仕組みもあります。

現状で「最高の地震対策」とされ、地震の揺れを最大で1/5~1/10程度にできます。装置が搭載されている関東にある住宅では、東日本大震災の揺れを「ほとんど感じなかった」そう。つまり、建物はもちろん、人や家財道具なども含めて守ることができるのです。

どのような建物でも搭載できることもメリットの1つ。ただ、デメリットとして導入コストが標準的な住宅の場合、300万円以上するということがあります。また、地盤の状態や建物の形状によっては搭載できないというケースもあります。

そこで、このようなデメリットを考慮して考え出されたのが制震技術です。これについては、次のページで紹介します。