京都でうなぎのおいしさを再発見!
昨今、稚魚の高騰によって、ますます贅沢品になってしまったうなぎ。高いとわかってはいても、食べたいという気持ちが先立つのがくいしんぼうの性。うなぎというと、東京のイメージが強いですが、京都だって負けていません。京都市内に点在するうなぎ屋の中で、私が一番におすすめしたいのが「祗をん 松乃」(ぎおん まつの)です。
「祗をん 松乃」の歴史は1953年と、京都の中では比較的新しいお店ですが、創業以来、つぎ足し、受け継がれてきたタレを味わうと、時間だけではない歴史の深さをしみじみ感じます。三店舗あるうち、「祗をん 松乃」は観光名所にもなっている南座のすぐ近くとあってか、常ににぎわっています。
ここで少々、関東と関西のうなぎについてお話しましょう。江戸前のうなぎは背開きで、一度焼いたものを蒸し、さらに焼きます。一方、関西は腹開きで、蒸すことなく、そのまま焼くというスタイル。開き方には江戸は武士文化で、腹開きは切腹をイメージさせるなど諸説あるようですが、定かなことはわかりません。焼き方は好みの一言ですが、脂ののった関西のうなぎもまた、たまらぬおいしさです。
うなぎのおいしさを堪能しようと、この日はうざくからスタート。ふわっと焼けた脂の乗ったうなぎと、きゅうりの歯応えは、いつ食べても絶妙な相性。だしのきいた酢は、ツンと尖ったところがなく、実に優しい味わい。あまりのおいしさに汁まで飲み干してしまいました。
うざくと一緒にビールを頼むと、今ではめずらしいはかまがついて出てきました。はかまとは、徳利や瓶ビールにつけられる木製の器のこと。高級旅館や料亭では見かけるものの、一般的なお店はほとんど見かけなくなりました。このあたりにおもてなしの心意気が垣間見れますよね。