クラシック/クラシックおすすめ新譜CD

CD屋さんが選ぶ「クラシックCDアワード 2014」!(4ページ目)

続々と注目のCDが出てくるクラシック音楽の新譜。そこで、日々新譜を聴くCD屋さんに2014年のベストCDを選出してもらいました。「クラシックCDアワード 2014」発表です!

大塚 晋

執筆者:大塚 晋

クラシック音楽ガイド

6位:バッティストーニ(指揮) レスピーギ:ローマ三部作

煽る! 新解釈! 常識を軽々破る若手の快進撃
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:さて、一転、期待の若手です! これも上期のランキングに入った盤です。

:前回も言いましたが、やはりとにかく『祭り』が素晴らしいですね。煽りや細かい部分でのあまり聴いたことのない歌い回しとか、どれを聴いても新鮮。最後でものすごく煽るのに、東フィルがぴったりつけていくという、何かが降りてきたような演奏。本当に、これは良い人が出てきたなっていう気がします。

:日本のオケでローマ三部作をここまで安定して録れる、ディスクとして残っている、というのは、まずすごいですね。特にやはり『祭り』。

:変な言い方ですが、遜色ないというか、本当に良い演奏だと思いますね。

:今度イタリア・オペラの序曲・合唱集が出ますけど、それも楽しみですね。

:イタリアのオケですね。

:それもまた楽しみですよね。あと、オペラは得意でしょうけど、オケ物を振ってもおもしろいというのが分かったから、平行してやっていっていただきたいですね。

:女性ファン受けもすると思うので、オーケストラ音楽の楽しさを、特に若い女性向けにいろいろやってもらいたいですね。

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山野楽器
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5位:クルレンツィス(指揮) モーツァルト:フィガロの結婚

目の覚める爽快さ! 考え抜かれた今後のスタンダードになり得るフィガロ
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:ギリシャ出身、72年生まれの鬼才によるモーツァルト、ダ・ポンテ3部作の録音第1弾! これ、ロシアのオペラ劇場なんですよね。

:モスクワからもちょっと離れたペルミ国立歌劇場ですね。でも、オケはものすごく上手ですよね。ちょっとびっくりしました。とはいえ、クルレンツィスは元々メジャーオケも多く指揮している人ですけれど、レーベルとしては、よく決断したと思いました。

:結構、長期の専属契約を結んだそうですね。

:演奏は、ピリオド楽器での演奏が多い昨今にあっても、またちょっと一歩進んだ音が聴けたことがすごいですね。歌手も古楽界のソプラノとして人気のケルメスだったりと、選択も素晴らしい。モーツァルトのオペラを昔から親しんできた人はもちろん、初めて聴く人でも、びっくりして面白いと思うような演奏じゃないかなと思いました。

:間違いないですね。瑞々しく、またアンサンブルが全く乱れない! 聴いていて楽しく、気持ち良い。

:アンサンブルがこのオペラの特徴を、楽しく表現していましたね、指揮者とオケが。

:国内アーティストのランキングでも同じようなことを述べましたが、ディスクとして、すごく周到に準備されているところもすごいですよね。指揮者も製作のソニー側も相当準備をして、物としてきちんと作っている。輸入盤は解説も多くて本のようですし、国内盤は対訳が入っているだけではなく、クルレンツィスのインタビューももちろん日本語で読めて、そういうメリットも国内盤に残していて素晴らしい。輸入盤を買っても国内盤を買ってもそれぞれの楽しみがありますよね。録音自体も準備とお金と、いろいろと掛けて作っている。

:さっきのベルリン・フィルのシューマンもそうですが、安い軽いがもてはやされている昨今に、こういう物としてしっかりしているものが出てくるのは嬉しいですね。これを作り続けるのは、相当大変でしょうけれどね。

:上半期のランキングで出たヘンゲルブロックのマーラーもソニーさんでしたよね? 最近凝った作りのものが光りますね。

:確かにソニーさん・BMGさんはがんばっている印象を受けますね。「国内盤を買った方がいいですよ」という物をソニーさん・BMGさんは結構出していますね。

:会社でオペラのキャンペーンをやろうとしたところ、一般的に聴かれているオペラであっても国内の現役盤がかなりなくて、揃わないんですよ。輸入盤を入れたらやれないことないんですけど、それだと意味がないので。オペラを最初にガイドするのに、DVDだと演出の影響が大きいので、CDで聴いていただきたい。ところがそうするとなかなか大変な中、こういう、録音も解説もしっかりしたものが出てくると、ソニーさん廃盤にしないでね、とお願いしたくなりますね。

:実際売れていますしね。

:バッティストーニもそうですけど、指揮者にどんどん優れた若手が出てきていますよね。それぞれに個性のある活動を記録として残してくれれば絶対にクラシック音楽界は面白くなりますね。

:2作目の『コジ・ファン・トゥッテ』も出ましたが、そちらももちろんすごかったですね。次のドン・ジョヴァンニも楽しみですね。

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4位:ブリュッヘン指揮 モーツァルト:後期三大交響曲

古楽の名匠ブリュッヘンが到達した温かみあるモーツァルト
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上半期で絶賛したらその直後にブリュッヘンが亡くなってしまったという……。

:悲しかったですね……。亡くなる前に聴いた印象とその後に聴く印象がやはりちょっと違いました。改めて旧録音も合わせて何回も聴いたんですけれど、テンポはすごく速くなっているんですけれど、演奏自体は前よりも一段と丸く、しなやかになっているというか。録音自体は2010年なのでそんなに最近ではないですけれど、オリジナル楽器の一つの歴史の、年月を経て最後に行き着いた境地と言いますかね。感慨深く聴きました。

:ブリュッヘンの人柄も偲ばれるようで、本当に遺産というか、名盤ですよね。

:40番なんかは器楽的ではあるんですけれど、ところどころにブリュッヘンのモーツァルトに対する愛情というのが現れている。初期の頃の時々やんちゃをする感じとは違って、一つひとつの音のつむぎ方とか、なんかいいんですよね。

モーツァルトの交響曲を聴く際に、絶対に頭から離れないセットになりましたね。輸入盤が出た後で解説付きの国内盤も出たんですけれど、それからいろいろなところで紹介されるようになって、地方の小さいお店から何度もバックオーダーが入るようになったり。評判が評判を呼んでいるような気がします。

:出たときは、正直そんなに売れていなかったんですけれど、亡くなられてから特に売れていますね。あと『レコード芸術』さんのレコードアカデミー賞2014年の交響曲部門で1位になりましたよね。そんなこともあり、長く売れていくんだろうなと思います。古楽演奏にもいろいろありますけれど、一つの模範、規範として、基準になる到達した一つの境地ですね。

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