足元から這い上がってくる冷えが辛い冬
暖房すると顔ばかり火照って足元が寒い。そんな状況は家の断熱性能に問題があることが多い。
かと言って、暖房の室温設定を上げれば顔ばかり火照り、冷暖房費も気になります。しかし暖房を消せばすぐに部屋が冷えるなど悩みは尽きません。
この時期は、お風呂に入るのが辛い時もあります。冷え切った脱衣室で服を脱いで、あまりの寒さにすぐさま熱いお湯にざぶんと入るという人もいることでしょう。しかしこのようなお風呂の入り方は、身体に負担が掛かり健康によくありません。
暖かい部屋から寒い部屋へ移動すると、寒暖差で血圧が急激に上昇、逆に寒い部屋から暖かい部屋へ移動すると、今度は血圧の急激な低下が起こる可能性があります。このような血圧の急激な変動をヒートショックと呼び、高齢者の場合は、死亡事故につながることもあります。
これらの寒さの原因は、家の断熱性能の低さにあります。断熱性能が低い家は、外気の影響を受けやすいので、いくら暖房しても寒いまま、暖房を切ると急速に室温が下がります。特に日本の古い住宅は断熱性能が低いので、冬の寒さに悩んでいる人が多く、LIXIL社調べのアンケートでも、寒さへの不満を持っている人が7割もいるというデータが出ています。
我が家はなぜ寒い?建てられた時代で快適度が違う
断熱性能が高ければ、家全体がむらなく暖かくなるので足元の冷えも軽減できる。
家はその時代の省エネルギー基準に沿って建てられています。省エネルギー基準とは家の断熱性能や建物のエネルギー消費量について定めたもので、簡単に言えば魔法瓶の性能をはかる基準のようなもの。この性能が高いと、ちょっと暖房をつけるだけで、家全体がむらなく暖かくなり、冷暖房費も安く済みます。
この省エネルギー基準は時代とともに進化していて、1980年、1992年、1999年、2013年に新しくなっています。新しい基準に沿って建てられた家ほど性能が高く快適ですが、この基準は今のところ義務ではなくあくまでも目標。新しくてもこの基準に沿っていない家もあります。
暖房しても寒い家は、床や壁に触ると冷たい
次に室内の状況を確認してみましょう。寒い日に、1階の床や外気に面した壁に手を触れてみて下さい。暖房しているのに、床や壁が冷たい家は要注意です。断熱性能が低い家は、外気の影響で床や壁が冷えてしまうので、いくら暖房しても寒いまま。同じ室温でも、床や壁の表面温度で暖かさが違うのです。冷え切った壁や床に囲まれた状態では、いくら暖房しても寒いまま。
家を暖かくするには、空間を断熱材でくるんで外気の影響を受けにくくし、室内の表面温度を下げないことが大切です。窓の断熱はもちろんですが、見逃しがちなのが床と壁の断熱です。例えば築20年の家の場合、冬の暖房時に家の中から逃げ出す熱の約30%が床と壁からというデータがあります。特に冬は、床下から侵入する冷気が足元を冷やすので、女性には辛い季節になっているのです。
次のページでは、床や壁の断熱リフォームは手間とお金が掛かるという誤解について、手軽に部屋を暖かくする「ほっとリフォーム」の上手な取り入れ方をご紹介します。
取材協力:LIXIL