勝者は国内中小型、新興市場株!
2012年12月から2014年9月まで続いた第2次安倍内閣では、日本経済の再生を目指した「アベノミクス」が大きく注目されました。ここでは、第2次安倍内閣の期間をおおよそ2年と考え、2014年11月までの投資信託の運用成績を見てみました。「ベスト」の上位を占めたのは、マザーズ、ジャスダックなど国内の新興市場銘柄や、時価総額が比較的小さな中小型株に投資するファンドでした。投資信託の世界では、新興市場株と中小型株は同列に扱われることが多く、ファンド名に「新興市場」という単語が入っていても、実際にはマザーズやジャスダック以外の市場に上場する中小型株が組み入れられることがあります。
新興市場株・中小型株を組み入れたファンドは、東証1部上場銘柄が中心の大型株ファンドと比べて運用上の制約が多い上、入念な銘柄選定を必要とされるため、全ての運用会社が積極的に展開しているわけではありません。新興市場株・中小型株の運用を得意とする運用会社は限られているのです。
例えば、ランキングで2位につけた「新興市場日本株 レアル型」は、対ブラジルレアルで為替取引を行っているため、騰落率が突出して高かったのですが、同じDIAMアセットが運用する3位の「新興市場日本株」とポートフォリオの構成内容はほぼ同じです。
需要減退+ドル高で金関連は苦戦
一方、「ワースト」で上位に名を連ねたのは、金関連の資産に投資するファンドでした。新興国の需要が減退したほか、2014年以降、米ドルが主要通貨に対して上昇し、金価格が軟調に推移したことが背景にあるとみられます。中でも、「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンAコース」は、為替ヘッジ機能が付いているため、金価格の下落に加えて円安進行による為替差益を享受できず、ワースト1位に浮上しています。ただし、これは裏を返せば、金価格と株価が逆の動きをするということでもあります。1本だけで保有するのではなく、株式市場が下落に転じた場合を想定し、分散投資の観点からポートフォリオの一部に取り入れると良いでしょう。